研究概要 |
1、 gastrin-releasing peptide(GRP)受容体共役G蛋白の決定 マウスGRP受容体cDNAとGasのC端5残基をGs以外のすべてのGaと入れ換えたハイブリッドGas(Gas/x)cDNAとをCOS細胞に発現させ、GRP刺激によるcAMP産生量を測定した。ハイブリッドGasのうち、GqファミリーのGq、G14、G16とG12ファミリーのG12、G13の場合に、GRPの容量依存性にcAMMP産生量が増加することが明らかとなった。サブスタンスP誘導体[D-Arg^1,D-Phe^5,D-Trp^<7,9>,Leu^<11>]substancePの共存でこれらのcAMP産生増加が抑制されることも明らかとなった。GRP受容体とGqファミリーとの共役は従来の報告と同様であるが、G12ファミリーについては、兵役を示唆する報告はあったが、はっきりと示すことができたことは意義があると言える。 2、 GRP受容体のシグナル伝達経路の検討 G12、G13の下流について、低分子量G蛋白rhoを介してシグナル伝達しているという報告がある。rhoの下流について、特にfocal adhesion kinase(FAK)のチロシンリン酸化を促進するか否かを検討した。まず肺胞上皮癌細胞であるA549細胞にマウスGRP受容体を安定発現させた細胞株を樹立した。この細胞にGRPを処理することにより、FAKのチロシンリン酸化促進が明らかとなった。しかし、これは付着状態の場合であり、細胞を浮遊状態で同様の処理をしてもFAKのチロシンリン酸化促進は認められなかった。一方、GRPをオートクリン因子としていることが知られている肺小細胞癌H345細胞では、浮遊状態であってもGRP処理によるFAKのチロシンリン酸化促進が認められた。H345の場合にはインテグリン非依存性のFAKチロシンリン酸化機構の存在が示唆された。
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