研究概要 |
1.細胞の剥離過程におけるアクチンフィラメントの挙動の実時間観察 前年度の途中から採用しているGFP/アクチンベクターを利用して内皮細胞内に遺伝子を発現させ,アクチンを生細胞において観察することができた.これを利用し,内皮細胞をガラス上で培養しトリプシンによって剥離する際のアクチンフィラメントの実時間の挙動を直接観察しビデオに録画することができた.この結果,アクチンフィラメントは3要素線形粘弾性モデルに従い収縮していた.さらに,主として一方向に収縮が起こり,その直角方向には収縮が起こらない興味ある現象を確認した. 2.α-アクチニンの型による細胞内分布の違い α-アクチニン非筋1型と平滑筋型は主にアクチンフィラメントを架橋する部分に発現し,非筋2型はアクチンフィラメント末端と基質との接着部に主として発現することを再確認した.現在,焦点接着キナーゼ(FAK)の活性と併せて検討を進めている. 3.流れ負荷実験に伴うアクチンフィラメントの挙動観察 1Paのせん断応力を負荷した際のアクチンフィラメントの挙動を実時間で観察することができた.静置培養下においては、アクチンフィラメントも比較的太い束が周辺部に散在していたが,30分後には一部のアクチンフィラメントの太い束が中央部にも観察され,60分後にはこの太い束は消失し,細胞全体にアクチンフィラメントが分散していた.続いて,120分経過後には細胞は伸長しており,アクチンフィラメントは長軸に沿って配向している状態が観察された。
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