研究課題/領域番号 |
10877132
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研究種目 |
萌芽的研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
皮膚科学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
宮地 良樹 京都大学, 医学研究科, 教授 (30127146)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2000年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1999年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1998年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | 肥満細胞 / 形質転換 / トリプターゼ / キマーゼ / 線維芽細胞 / 共生培養 / 細胞内カルシウム / 微細構造 / 電顕的観察 / トリプタ-ゼ / キマ-ゼ |
研究概要 |
これまでに、臍帯血中の血液幹細胞をstem cell factorとインターロイキン6共存下に培養して得られるヒト肥満細胞は、組織化学的には従来の報告以上にキマーゼ陽性率が高いこと、その一方で細胞顆粒の電顕的観察では、依然として未熟な粘膜型肥満細胞(MCT型)と考えられる構造を有し、皮膚結合組織型(MCTC型)を思わせる構造は認められないことを明らかにした。 そこで、線維芽細胞との共生によってヒト肥満細胞がMCT型からMCTC型へと形質転換するのか否かを確認するため、今年度は化学伝達物質遊離能およびそれに先だって認められる細胞内カルシウム濃度の上昇に注目して検討を行った。既に報告したように、臍帯血由来培養ヒト肥満細胞は免疫化学的にはキマーゼ陽性のMCTC細胞と陰性のMCT細胞が様々な比率によって混在しているので、まず共焦点レーザー顕微鏡を用いFura-2をインディケーターとして、細胞1つ1つのレベルでの細胞内カルシウムの流入を検討できる系を確立した。この結果、ヒト骨髄腫IgEで授動感作した細胞を抗IgE抗体て架橋して刺激した場合には、ヒスタミンの流出に先立って細胞膜周辺部からカルシウム濃度の上昇が起こること、逆にcalcium ionophoreA23187を用いて細胞を刺激した際には細胞中心部、おそらくは核内からカルシウム濃度の上昇が引き起こされることを確認した。しかしながら、MCTC型肥満細胞の特徴の1つとされるcompound 48/80あるいはsubstance P による脱顆粒反応の検討を行うと、臍帯血由来培養ヒト肥満細胞ではカルシウム濃度の上昇は確認できなかった。線維芽細胞との共生を行った細胞を用いた検討では、今回の系では細胞の同定が困難であり充分量の細胞の観察が行えなかったが、依然としてcompound 48/80あるいはsubstance P による細胞内カルシウム濃度の上昇は来していないようであった。 以上、線維芽細胞との共生によって皮膚結合組織型肥満細胞を誘導・確立することは困難であることが明らかとなったので、今後は皮膚結合組織型肥満細胞の確立という観点から、皮膚から肥満細胞を抽出しこれを長期間培養する系の確立を検討していく予定である。(この手法についてはすでに並行した研究で実現可能となっている。Blood誌に掲載予定)
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