研究概要 |
本研究ではマウス真皮に見出されたThy-1抗原を発現している樹枝状の形態をとる"dermal Thy-1 positive dendritic cell"(dermal Thy-1^+DC)について検討を進めた。その際マウス表皮に存在するdendritic epidermal T cell (DETC)についても検討した。DermalThy-1^+DCを単離することをDETCと併行して行なった。パニング法によってDETCは90%以上の純度で回収できたが,dermal Thy-1^+DCについては単離できなかった。そこでDETCについてはこれまで充分検討されていないIFN-γ産生機序について検討した。またdermal Thy-1^+DCについてはその発生についてIL-7トランスジェニックマウス(tgマウス)を免疫組織学的に検討することとした。DETCのIFN-γ産生については,IFN-γ誘導性サイトカインであるIL-18とIL-12について行なった。その結果DETCからのIFN-γ産生はIL-12またはIL-18単独では誘導されないが,IL-12とIL-18の共存下では誘導されることが明らかになった。更にこのようにして誘導されるIFN-γはマウスによって異なり,C57Be/6ではBALB/Cに比較すると多量のIFN-γが産生され,これがそれぞれのマウスがTh_1,Th_2に偏位されることの要因のひとつである可能性が示唆された。IL-7tgマウスにおいては,真皮の毛包周囲にT細胞の増殖がみられ,次第に増数し,真皮全体に多数のT細胞浸潤をきたすことが明らかにされた。これらはαβTCR,γδTCRを発現する多様なT細胞から成っていることも明らかになった。IL-7tgマウスでみられた真皮のT細胞がdermal Thy-1^+DCの増殖による可能性があるものと考えられた。
|