研究概要 |
マウス全胚培養において心形成関連遺伝子eHANDアンチセンスオリゴヌクレオチドのマイクロインジェクションの影響を検討した。妊娠7.5日(膣栓確認を胎生0日)のICRマウス胎芽を摘出,Rotator systemの全胚培養を行った。eHAND遺伝子のmRNA開始コドンから20merの長さのアンチセンスS化(phosphorotioate型)オリゴヌクレオチドを作成し,PBSに溶解後,10μMの濃度で,胎生8.0日の羊膜腔内へ0.5μlマイクロインジェクションした。コントロールとして同部位のセンスS化オリゴヌクレオチドおよびPBSを同様に投与した。胎生10日の胎芽を形態観察した。FITCでラベルしたアンチセンス・オリゴを同様に投与し,4時間後、10時間後ともに,heart tube内に取り込まれていることを確認した。eHANDの蛋白発現をWestern blotingで検討し,投与5時間後の胎芽と胚外の膜組織でセンス投与に比べてアンチセンス投与で蛋白発現の抑制が見られた。10.0日胚の発育は,センス・アンチセンス群ともコントロールにくらべて発育不全が見られたが、アンチセンス群で有意に著明であった。心臓の形態では、明らかな形成不全はみられなかったが、アンチセンス群の一部(26.7%)にループ異常を認めた。アンチセンス投与群でのループ異常は、ループ形成におけるeHANDの何らかの関与を示唆するものと考えられた。
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