研究課題/領域番号 |
10877177
|
研究種目 |
萌芽的研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
代謝学
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
浅野 知一郎 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (70242063)
|
研究分担者 |
荻原 健英 東京大学, 医学部・附属病院, 医員
犬飼 浩一 東京大学, 医学部・附属病院, 医員
石原 寿光 東京大学, 医学部・附属病院, 医員
片桐 秀樹 東京大学, 医学部・附属病院, 医員
佃 克則 東京大学, 医学部・附属病院, 医員
|
研究期間 (年度) |
1998
|
研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
|
配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1998年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
|
キーワード | PI 3-キナーゼ / c-Akt / サブトラクションクローニング / 3T3-L1脂肪細胞 / 細胞内情報伝達 |
研究概要 |
本研究は、活性型のPI3-キナーゼを細胞に強制発現後mRNAを抽出し、対照との差をサブトラクション法で調べることにより、PI3-キナーゼが発現を誘導する遺伝子の同定を試みたものである。細胞は、ラットの肝・骨格筋細胞と3T3-Ll脂肪細胞を用いた。その結果、肝細胞で96種(既知の遺伝子と相同性あり44種、なし52種)、骨格筋細胞で65種(相同性あり39種、なし26種)、脂肪細胞で35種(相同性あり18種、なし17種)のクローンが得られた。既知の遺伝子としては、肝細胞ではglucosyltransferaseなどの糖代謝酵素、糖輸送担体GLUT2、アポ蛋白A-IVなどが含まれていた。脂肪細胞ではMMTPのような脂肪代謝に関する蛋白が、骨格筋細胞ではGLUT4小胞に存在するアミノペプチダーゼなどの糖取り込みへの関与が想定される蛋白が含まれていた。これらの遺伝子はすべてRT-PCRやRNase protection assayを行い、PI3-キナーゼ活性化による発現の増加を確認した。一方、既知の遺伝子と相同性のないものの中には、ESTとして報告されているものがあり、AA403748、W98700など多くが各細胞に共通して得られた。一例としてAA403748は、PKC-binding proteinと一部のみ相同性があり細胞内情報伝達に重要と思われたため、この遺伝子の全長をクローニングし、その機能を検討中である。以上の作業によって、PI3-キナーゼやc-Aktといった細胞内情報伝達のkey enzymeがどのような遺伝子発現をもたらすかという全貌の一端が解明されつつある。本研究は、細胞内情報伝達を従来のシグナルの「パスウェイ」から、遺伝子発現を含めたシグナルの「ネットワーク」として理解するための新しい方向性の研究であり、今後もさらなる発展が期待できると思われる。
|