研究概要 |
従来から長期にわたって使用されている市販の静脈内投与標準アミノ酸製剤は、期待に反し侵襲生体の感染性合併症の発生率を減少させ得ず、逆にこのような標準アミノ酸製剤の投与は侵襲後の感染症発生を増加させると報告されている。そこで本研究は、侵襲生体で需要増加が予想される特殊アミノ酸、グルタミンとタウリンによる免疫担当細胞の機能増強効果を検討し、以下の研究実績を得た。 1、消化器外科手術患者で術前、術後第1,3,7病日の末梢洗浄全血を、グルタミン0,0.5,1,2mMで24時間培養した。その後、好中球と単球分画のビーズ貪食能と活性酸素(ROI)産生能をflow cytometryで測定した。術後患者末梢血へのin vitroでのGln添加は、好中球と単球の貪食能およびROI産生能を増強した。 2、健康成人末梢血分離好中球をタウリン0,100,1000μmol/Lで培養した。その後、E.coli殺菌能、ROI産生能を測定した。タウリンは濃度依存性に好中球の細菌殺菌能を増強し、さらに殺菌能に関与する活性酸素(ROI)産生能を増強した。 以上から、特殊アミノ酸、とくにグルタミンとタウリンは好中球やマクロファージなどの機能を増強することが示唆された。
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