研究課題/領域番号 |
10877192
|
研究種目 |
萌芽的研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
消化器外科学
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
嶌原 康行 京都大学, 医学研究科, 助教授 (30196498)
|
研究分担者 |
飯室 勇二 京都大学, 医学研究科, 医員 (30252018)
柴田 徹 京都大学, 医学研究科, 助手 (40293857)
山内 清明 京都大学, 医学研究科, 助手 (00291427)
山本 成尚 京都大学, 医学研究科, 助手 (30253298)
本田 和男 愛媛大学, 医学部, 助教授 (00209321)
|
研究期間 (年度) |
1998
|
研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
|
配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1998年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
|
キーワード | ミオグロビン / アデノウィルス / 遺伝子導入 / 肝虚血再灌流 |
研究概要 |
肝虚血再灌流障害は、肝臓外科の手術手技上避けられない問題であり、特に、高度肝障害を有する症例や、血行再建を伴う肝切除症例においては、術後肝不全の原因となりえ、虚血再灌流障害を軽減する方法の開発が望まれる。我々は、ミオグロビンの酸素リザーヴァーとしての働きに着目し、ミオグロビン遺伝子を肝に遺伝子導入する事により肝虚血再灌流障害を軽減しうるか否かを検討した。ミオグロビンは主に骨格筋及び心筋に存在する酸素結合蛋白質で、虚血時には酸素のりザーパーとしての機能を発揮する。しかし肝臓にはミオグロビンは存在しない。そこで我々はラット肝臓にミオグロビン遺伝子導入を行い、虚血再灌流モデルにおける肝臓保護効果について検討した。アデノウィルスベクターにミオクロビン遺伝子を組み込んだAdCMVMyoベクターをラット尾静脈より静注後3日目に20分間の全肝虚血を行い、再灌流後の血清GOT,GPT,LDH値および肝組織変化について検討した(AdMyo群)。対照は、AdCMVlacZ遺伝子を同様に投与した群(AdLacZ群)と、いずれのウィルスベクターも投与しない群(NT群)とした。AdMyo遺伝子導入によるミオグロビン蛋白質の発現は免疫組織染色法およびWestern Blotting法にて確認した。虚血再灌流後の血清GOT,GPT,LDH値の上昇はAdLacZ群、NT群に比してAdNyo群で抑制される傾向にあった。組織学的にはAdLacZ群では中心静脈領域を中心に広範な肝細胞変性を認められたが、AdMyo群では肝細胞変性はほとんど認められなかった。これらの結果から、肝臓へのAdMyo遺伝子導入により肝虚血再灌流障害が抑制される事が判明し、肝臓外科における手術適応の拡大及び手術手技の安全性の向上に貢献する可能性が示唆された。
|