研究概要 |
まず,ハムスターにニトロソアミン系化台物であるN-nitrosobis(2-oxopropyl)amine:BOPNを10-15週間という短期間に150-250mg/kgという大量を投与する事により,肝内胆管癌,肝外胆管癌および胆嚢癌を約50-60%発現させ,短期間における胆道癌発癌モデルの実験系の確立に成功した.また,同時に胆管内の粘液・ムチンの分布状況を確認するため,本胆道癌をカルノア固定後にパス染色で粘液を染色すると,正常部は粘掖で覆われているが癌部は表面に粘液層が欠落していることを確認した.さらに,外胆嚢痩より,HVJ-リボゾームで包埋されたリポーター遺伝子(ベータガラクトシダーゼ)を注入し,正常胆管,胆管癌における遺伝子発現を確認できた.これにより,ハムスター胆道内への遺伝子注入により,癌部に選択的に遺伝子導入が行える方法も確立できた. 以上の実験結果を踏まえ,胆道内腔にHVJ-リボゾームで包埋された細胞増殖停止オリゴヌクレオチド(CDK2に対するアンチセンスオリゴヌクレオチド)または自殺遺伝子(ヘルペスウィルスチミジンキナーゼ遺伝子:ガンシクロビルを併用)を注入し,正常胆管上皮・他臓器における遺伝子発現の有無,腫瘍抑制効果につきin vivoの担癌ハムスターを用い検討する実験系が可能になった.この実験系は将来的にはヒト胆道癌の遺伝子治療に応用可能と考える.
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