研究課題/領域番号 |
10877273
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研究種目 |
萌芽的研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
眼科学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
高木 均 京都大学, 大学院・医学研究科, 講師 (70283596)
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研究分担者 |
桐生 純一 京都大学, 大学院・医学研究科, 助手 (80281096)
本田 孔士 京都大学, 大学院・医学研究科, 教授 (90026930)
谷原 秀信 京都大学, 医学研究科, 講師 (60217148)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1999年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1998年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 血管前駆細胞 / 眼内血管増殖疾患 / 血管新生膜 / CD31 / CD34 / VECAM / PDGFR / vasculogenesis / 血管内皮前駆細胞 / 虚血性血管新生 / 増殖性糖尿病網膜症 / 老人性黄斑変性症 / 免疫組織化学染色 / 血管新生膜組織 / 内皮細胞マーカー / 眼内血管新生抑制 |
研究概要 |
眼内血管新生疾患における血管前駆細胞の関与を検討した。増殖性糖尿病網膜症、老人性黄斑変性症などの血管新生黄斑症、網膜静脈閉塞症を対象疾患とし、硝子体手術で敵出したこれら疾患の血管新生膜組織について、内皮細胞マーカーの発現を免疫染色により検討した。CD31は循環血中のCD34発現前駆細胞が内皮細胞に分化する過程において発現してくることが報告されているが(Science,v.275p.964)、多くのCD34陽性細胞の中にCD31陰性細胞が見られ、このような細胞群には循環血より侵入した前駆細胞が含まれる可能性が示唆された。一方Flk-1は胚性幹細胞から培養したin vitroの系ではCD34や他の内皮細胞マーカー(VECAM)が発現を開始した後に発現が低下することが報告されている(Blood v.93 p.1253)。CD34陽性細胞群にFlk-1陽性と陰性の細胞群がみられたことにより血管増殖膜内での内皮細胞の分化過程が存在する可能性が示唆される(Suzuma et al Microvasc Res 1998;56:183-191,Oh,et al IOVS 1999;40:1891-1898,Otani et al IOVS 1999;40:1912-1920,Otani et al 投稿中)。次にマウスの網膜血管形成をモデルとして血管前駆細胞の関与を検討した。網膜血管は乳頭より鋸状縁に向かって発育するが、CD34陽性細胞は無血管領域には見られず、内皮前駆細胞が網膜内に存在しないことが示唆された。一方PDGFR-α陽性グリア系前駆細胞やPDGFR-β陽性の周皮前駆細胞と考えられる細胞が血管内皮を誘導するGFAP陽性グリア細胞networkの前方に存在しており、これらの前駆細胞が内皮細胞の誘導や周皮細胞への分化などにより網膜血管形成に関与している可能性が示唆された(投稿中)。このように従来言われていた局所の既存血管内皮細胞による血管新生だけでなく血管前駆細胞によるvasculogenesisや様々な前駆細胞が実際の眼内血管増殖疾患にも寄与していることが示唆される。今後これらの前駆細胞に抗血管新生遺伝子など多様な遺伝子を発現させることにより、高い特異性でtarget部位に集結させうると考えられ、今後の眼内血管新生の抑制に応用できるものと考えられる。
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