研究概要 |
本研究では2系統のヌードラットを用いることによってgraft versus host reaction(GVHD反応)を含む免疫拒絶色反応を起こさない外科的キメララットを作成した.本研究では組織適合性抗原が異なりmajor mismatchであるにもかかわらず,免疫学的拒絶反応は全く起こらない.従ってさまざまな移植が可能である.組織学的検討としてモノクローナル抗体を用いることによって,特異的にdonor由来かrecipient由来かを形態的に区別できる.本研究では種々の実験外科に対し極めて広範囲に対応可能な外科的キメラ動物実験モデルとなりうる.ラットはPVGrnu/rnu(RT1^*c,雄PVGrnu/rnu.雌PVG+/rnuの交配)とWAGrnu/rnu(RT1^*u.雄WAGrnu/rnu,雌WAG+/rnuの交配)を用いている.これら2系統のヌードラットは,交配によって繁殖させている. 検体組織は各種の形態観察に使用するため,主に凍結切片を作成し,使用している.移植組織を見分けるために,donorとrecipientを別々の抗体で染色している.蛍光抗体法により,2重染色を行っている.この結果,移植組織の識別が可能となりつつあり,その細胞動態の観察が行えるようになりつつある.外科的創傷治癒として,もっとも基本的な植皮術における創傷治癒過程が明らかにされつつあるが,移植片内の線維芽細胞と,創傷部の線維芽細胞の位置関係,また,新生血管の由来が興味深い知見として得られてきた.
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