研究概要 |
MRI動画撮像を試みるに先立ち,持続音構音時の口蓋,舌などの声道形状の描出法における撮像条件,計測法について検討を行った.まず,健常人5名について確認を行った後,過去の報告において構音障害が軽度であり,日常生活に問題ないとされる舌可動部半側切除症例,および重度となりやすい口底切除例,舌半側切除症例,舌亜全摘症例を10例選択した.MR画像の分析,音響分析の結果,/i/発音時において音響的特徴が健常範囲にある声道形状の要因は1)中央部付近にゆるやかな変化を示す部位が存在すること2)狭窄部位が中央部に近いこと,3)狭窄部の断面積が健常範囲に近いこと4)左右対称的な楕円形の声道形状を示すことである.音響的に1500〜3000Hzにピークが2つ存在するような異常となる要因としては1)中央部から後方部にかけて声道断面積の変化が著しく大きいこと2)中央部の断面積が著しく広いこと,3)声道形状が著しく不整形であることが考えられた.今後,さらなる撮像時間の短縮化,分析方法の検討を行い,動画によるMR撮像を行う予定である. これらの成果は第43回日本音声言語医学会総会,第17回日本口腔腫瘍学会,音声・聴覚共催研究会14th ICOMS,Washington D.C.にて発表を行った.また,日本音響学会講演論文集,2-Q-13,信学技報,SP98-149,日本口腔科学会雑誌第49巻第2号,昭和歯学会雑誌第20巻第2号にて論文掲載が行われている.
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