研究概要 |
健常児120名と将来歯周疾患を発症する可能性が高いと考えられる小児の口腔内から歯肉縁下プラークを採取し,PCR法によってグラム陰性嫌気性細菌の有無を調べ,下記の結果を得た. 1. PCR法の検出感度と特異性について 設計通りの大きさの特異的なDNA断片が増幅され,培養法により得られた菌数と増幅されたPCR産物の間に相関性が認められた. 2. PCR法によるグラム陰性嫌気性細菌の検出について 1) 有病児(Chediak-Higashi症候群,先天性免疫不全症,Hypophosphatasia,Fibromatosa gingivae,Gingival overgrowth,Gingival recession)と健常児において,検出される菌種に差違はみられなかった. 2) 被験部位とした2ヶ所において,出現する菌種に大きな差はなかった. 3) P.gingivalis,T.dcnticolaはどの被験者から検出されなかった. 4) C.ochracea,C.sputigena,A.actinomycetemcomitans,C.recctusは,すべての年齢層より高率に検出された. 以上の結果は,小児や学童期の歯肉縁下プラークには既に種々のグラム陰性嫌気性細菌が定着している可能性が高いことを示しており,歯周疾患の発症との観点から歯肉縁下プラーク中のグラム陰性嫌気性細菌の有無と程度を,経時的に検査することの重要性を示唆している.
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