研究分担者 |
大野 茂 広島大学, 歯学部, 助手 (30304447)
田中 栄二 広島大学, 歯学部・附属病院, 講師 (40273693)
谷本 幸太郎 広島大学, 歯学部・附属病院, 医員
小澤 奏 広島大学, 歯学部, 助手 (20253099)
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研究概要 |
変形性顎関節症患者における下顎頭軟骨層病変の検出,あるいは骨吸収が進行中か否かの判定は,通常一時点の画像検査のみでは困難である. 尿中ピリジノリン(Pyr)およびデオキシピリジノリン(Dpyr)は,骨あるいは軟骨の代謝を示すマーカーとして,主として膝関節や股関節における骨変化の評価に用いられてきた.本研究では,顎関節疼痛を有する患者における尿中PryおよびDpyrの定量を行い,これらが顎関節病態との関連を有するか否かの検討を行った. 顎関節疼痛を有する患者の尿を試料として高速液体クロマトグラフィー(HPLC)および蛍光検出器を用いてPyrおよびDpyr濃度を測定した.さらに,これらの結果を臨床症状およびX線画像所見と比較検討した.その結果,顎関節疼痛を有する患者群においては,対照群と比較してPyrとDpyrの濃度比(Pyr/Dpyr)が有意に高いことが明らかとなった.しかし,今回の定量結果とX線画像所見との関連性は明確ではなかった.以上のことから,本検査法の骨吸収検出精度やこれに対する他の骨組織病変の影響などについてさらに検討の余地があるものの,尿中PyrおよびDpyrが顎関節疼痛に関わる病変の指標となる可能性が示唆された.
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