研究課題/領域番号 |
10877362
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研究種目 |
萌芽的研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生物系薬学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
入村 達郎 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 教授 (80092146)
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研究期間 (年度) |
1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1998年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 繊維化 / 線維芽細胞 / 細胞の運動性 / フィブロネクチン / 臓器特異性 / 大腸癌 / 肝転移 |
研究概要 |
結合組織の病的変化である組織の線維化の機構を解明することが本研究の最終目的である。具体的には、線維化の機構の第一段階は、線維芽細胞が移動して集積することであるとの仮説に基づき、このプロセスの引き金となる分子の同定を目指した。また繊維化の起こり方が臓器によって異なる原因を追求するための基礎を固めるため、種々の臓器から繊維芽細胞細胞を分離して培養し、それらの差異について検討した。 上皮系の細胞由来で蛋白性の、線維芽細胞遊走因子をcolon38細胞の培養上清中に見いだしたので、この可溶性因子の精製、蛋白の同定とcDNAの獲得を目指した。逆相HPLC、疎水性クロマトグラフイー、ゲル浸透HPLC等によって分画し、マウス線維芽細胞の走化性をボイデンチャンバー法にて測定することによって生物活性の指標とした。分子量二十数万の熱安定性の分子が活性の本体であることが明かとなった。抗体によるウエスタンブロッティング、阻害実験などから、この蛋白がフィブロネクチンおよびその断片である可能性が高い事が判明した。一方、in vivoでこの因子が作用して、組織の線維化が起こることを証明することを目指して、colon38細胞から限界希釈法によって8種のクローンを得た。これらの培養上清を、活性測定に供し他ところ活性因子を放出しているものとそうでないものとが見い出された。一方同系マウス(C57BL/6)にこれらのクローンを移植して、それらの造腫瘍性、転移性、線維化の状態を観察した。画像解析装置によって繊維化を定量する試みに最近着手したので、近い将来に活性因子の存在と繊維化の関係が明確になるはずである。各種臓器由来の繊維芽細胞に関しては、肝臓、腹腔、及び皮膚由来のものは、比較的容易に再現性良く得ることができるようになった。これらの表面糖蛋白の解析を行ったが、大きな差異は見られず、これらが類似した細胞であることを支持した。一方これらの細胞の培養上清のマウスの種々の癌細胞に対する走化性を比較するとそれぞれにユニークな特異性が見られ、繊維芽細胞は機能的に多様であることが明かとなった。
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