研究概要 |
本研究では,まばたきがユーザビリティの指標として有効であるかどうかを検討するために,WWWブラウザ利用時のまばたきを観察する実験を行った。まばたきは,小型のCCDカメラで撮影し,それを2値化し,コンピュータで分析する方法をとった。閲覧するホームページは,実験のために作成したもので3階層になっている。最初の2階層はメニュー選択のためのページで,最下層は文章が表示されるもので,ページ数は,1-4-12となる。それを順番に閲覧・音読するという課題を与えた。被験者が閲覧するメニューはのべ20ページ,文章は12ページとなる。 メニュー操作中,メニュー操作終了後2秒間,文章音読中,文章音読終了後2秒間の4つの期間に分けてまばたきの発生率を分析したところ,メニュー操作中にはまばたきが抑制され,メニュー操作終了後2秒間にまばたきが頻発した。さらに,メニュー操作が連続して2回続いた後の2秒間に最もまばたきが多いことが観察された。 一般に認知的負荷が高い処理を行なっている最中は,まばたきが抑制され,その処理終了直後にまばたきが頻発されることが知られている。したがって,この実験結果では,メニュー操作中に認知的負荷が高かったことを示すものである。メニュー選択時には,表示された項目の中から次に選択すべき項目がどれであるのか判断が要求され,その判断が認知的負荷を高めたのではないかと解釈される。このように,機器利用時のまばたきを観察することによって,認知的負荷がどこで高くなっているかを知ることができる。ヒューマンインタフェースの側面から考えると,その操作のインタフェースのユーザビリティが低いと考えることができる。したがって,本研究から,まばたきがユーザビリティの指標として活用できることが明らかとなった。
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