研究概要 |
本研究では,記号計算の成果を活用することにより,最適化問題の中でも重要な整数計画問題に対する新たな解法を与える.新しく得られた研究成果は次の通りである. 1.論理式による問題記述法の提案 高度に複雑な現実問題に対して整数計画法を応用する場合,問題をどのようにモデル化し記述するかが重要な問題となる.本研究では,一階述語論理の論理式により問題を記述すると,これを自動的に整数計画問題へと変換する理論的枠組を提案した.論理式を用いることで,従来知られている方法よりも問題のモデル化や解析が容易になった.論理式から整数計画問題への変換に関する研究成果の発表は,記号計算に関するシンポジウムIMS'99において行なった.また,研究論文は学術誌IEICEに掲載されることが決定している.(文献一覧を参照) 2.ラベル付けアルゴリズムの実装 シンプレックス行列により表現される連立1次方程式が整数解を持つかどうかの判定問題はNP完全であることが知られており,効率的な判定アルゴリズムを作るのは難しい.この問題の解法として,整数ラベル付け規則と行列の三角化に基づくYangのアルゴリズムが知られている.本研究では,このアルゴリズムを実現するシステムILINを作成し,大規模な(500変数の問題を含む)整数計画問題の解を求める実験を行なった.ラベル付けアルゴリズムの実装に関する研究成果は,学術誌IEICEに公表済みである.(文献一覧を参照)
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