研究課題/領域番号 |
10878051
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研究種目 |
萌芽的研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
知能情報学
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
粕谷 英樹 宇都宮大学, 工学部, 教授 (20006240)
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研究分担者 |
木戸 博 警察庁科学警察研究所, 法科学第二部, 研究員
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1999年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1998年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 声質 / パラ言語情報 / 非言語情報 / 日常表現語 / 個人性 / 音声コーパス / 多変量解析 / 聴取印象 |
研究概要 |
われわれの目指す「音声のモンタージュ」は音声情報科学の総合的な研究課題である。その要素課題の内、発話のパラ言語及び非言語特徴の適切な一般表現語の構築に焦点を置いた。これらの言語特徴には個人性や声質特徴が含まれ、これを言い表す適切な日常表現語(特定個人の発話を規定する上で、一般市民が共通概念として有している表現語)の抽出は、本研究の今後の展開を含め、最も基礎となるものである。 日常表現語の抽出を体系的に行うため、多段階のアンケート調査を行った。調査は年齢や性別、職業などを考慮した。第一段階の調査では、アンケートと文献調査によって声質に関連する137語を選定し、第二段階で表現語の了解性と同義性について詳細なアンケートを行い、了解性のある声質表現語25語を抽出した。第三段階として、調査対象者自身の声について自己評価させ、意味する概念が類似している表現語をクラスター分けし、10語の表現語に凝縮した。最後に反意語の調査を行い、「太い声―細い声」など8組の表現語対と対を持たない表言語「鼻声」を抽出した。 次に上述の自己評価結果の妥当性を確認するため、大規模な聴取実験を行った。音節の会話出現頻度など、発話内容を吟味した109名の男声による音声コーパスを作成し、予備実験を経て、日常表現語による音声の声質評価実験を行った。その結果を多変量解析等で分析したところ、自己評価結果とほぼ同様の結果が得られ、抽出した表現語の一般性が確認された。個人の特定に有用な声質表現語を構築することができた。 構築した声質表現語を用いて、ある程度の期間、聞いた音声の印象を保持できる能力を人間が持っているか否かという、本研究目的の成否の大前提となる聴取印象の記憶実験を行った。人間の主観評価である聴取印象と、その時間的な記憶変化について調べた結果、特徴のある音声を用いるなど、記憶の保持に良好な条件下では、かなりの期間、人間は聞いた音声の印象を保持できることが明らかになった。
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