研究概要 |
昨年度,パルスモータを用いて試作した回転錯視解析システム(実モデル)を改良して,今年度は回転対象をCGを用いて回転させたシステム(CGモデル)で,各種の錯視実験を試みた.その研究成果について,焦点を絞り簡単に列挙する. 1.実モデルとCGモデルとでは,錯視現象の知覚は,実モデルの方が少し大きい結果が得られたが,よく似た傾向の結果であり.充分CGモデルで代用できる.これにより錯視量の定量化実験にたいへん有効である. 2.このCGモデルの錯視現象の知覚について,回転対象のスピード,回転対象の形状等を変えて実験を行った.基本的には回転対象は正方形で実験を行ってきたが,三角形,十字形に変えて行った.これにより,錯視現象の大小が回転スピードと回転加速度に影響することがわかり,眼球運動計測を行い,最適値を求めた. 3.片眼による錯視現象の眼球運動計測を行った.遮蔽した側の眼の眼球運動が,観察側に比べて大きくなるという,たいへん興味のある結果が得られた.他の錯視図形(ポンゾ錯視)においても同様な結果が得られ,この両者で詳細に検討を行った.この結果,脳内から錯視現象を安定して観察できるように眼球にフィードバック運動(補助運動)を指令していると考えられる. 4.回転対象とマスクの面積比等を定量的に求めた.回転により見え隠れする部分の面積,形状変化等の関連性を定量的に調べ,回転対象の大きさ補正を行った.この補正方法として,半径比例変化と隠蔽面積不変の2方法で検討を行った.その結果,半径比例変化が錯視量の定量化に有効であることがわかった. 5.現在,4.の結果を参考に錯視量解析システムの実時間計測を目指して開発中である.
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