研究分担者 |
平田 孝道 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (80260420)
飯塚 哲 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (20151227)
佐藤 徳芳 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (40005252)
大原 渡 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (80312601)
|
研究概要 |
(1)現有の最大4KG発生可能な磁場コイルと真空容器(内直径16cm,長さ400cm)を整備し,その一端に内直径9cm,外直径10cmのドーナツ状の電子ビーム源を設置した.電子源から60cmの位置に内直径4cm,外直径13cmのドーナツ状金属リミタを設置しており,電子ビームはここで終端する.電子ビーム中に昇華させたC_<60>を導入すると,高エネルギー電子衝突によりC_<60>^+が,低エネルギー電子付着によりC_<60>^-が生成されて,リミタより下流域に拡散する.このようにして電子の存在しない純ペア分子イオン(C_<60>^+,C_<60>^-)プラズマの生成に成功した. (2)ラングミュアプローブによる半径方向プラズマ分布の測定によると,正負イオン共にガウス型分布をしている.空間電位は基準電位に対して正電位になっており,衝突・付着する電子の運動エネルギーの差よりC_<60>^-に比べてC_<60>^+の運動エネルギーが大きいことに起因すると考えられる. (3)リミタ印加電位を正弦波的に変化させて静電波動を励起しその分散関係を調べた結果,プラズマ振動周波数ω_p近傍には波動が伝搬しないカットオフ領域(ω_p<ω<√<2>ω_p)が存在することを見出した.また,ω<ω_pでは電子ーイオンの通常プラズマ中のイオン音波に相当するモードが,ω>√<2>ω_pでは電子プラズマ波に相当するモードが存在することを実験的に確認し,純ペアイオンプラズマの特性を明らかにした. (4)下流に設置した基板電極に堆積した薄膜をレーザー脱離飛行時間型質量分析器により解析したところ,C_<121>に相当する質量数をもつ安定な物質の存在を突きとめることができた.これはC_<60>が2つ結合したダイマーであると考えられる.
|