まず、本研究で具体的代謝経路として選んだ、二酸化炭素からメタノールを生成する経路に関与する3つの酵素たんぱぐ質(ギ酸脱水素酵素、ホルムアルデヒド脱水素酵素、アルコール脱水素酵素)を取得し、それらの酵素の基礎的性質について検討した。その際に、NADHを補酵素として用いるだけでなく、化学的メディエーターであるメチルビオロゲンも補酵素として有用であるかどうかについても検討した。その結果、これら3つの酵素の中ではホルムアルデヒド脱水素酵素の酵素的性質を改変することが、この代謝経路を用いて二酸化炭素からメタノールを生成する場合に、もっとも重要なステップであるごとを示唆する結果を得た。そこで、このホルムアルデビド脱水素酵素の遺伝子を取得し、この酵素遺伝子に対して人工進化操作を施した。その結果、機能の高まった酵素遺伝子を取得することができ、この遺伝子に対して人工進化操作が有用であることが示された。どの高機能化した酵素を用いて、二酸化炭素からメタノールを生成する反応について検討し、今後の代謝経路変換、およびメタノール生成に向けての、基礎的で重要なデータを得た。さらに、ギ酸脱水素酵素およびアルコール脱水素酵素についても、それらの酵素遭伝子を取得し、人工進化操作を施すため準備を整えつつある。
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