エナージトランスファーの効率がよい2種の色素で精製したアクチンに標識した。標識アクチンの混合比を最大のエナージトランスファー効率になるように、試験管内で決定した。試験管内で標識アクチンを繊維化させ、繊維化したアクチンのみが観察できる条件を設定した。in vitroの状態では、アクチン繊維一本一本を見ることが予想されたが、トランスファー効率が低いため、束になったもので確認できるレベルであった。次に、上での予備実験をもとに、2種の標識アクチンを細胞内に導入した。導入は、エレクトロポレーション法を用いた。エナージトランスファーによって繊維化アクチンのみが観察できた。ただやはりトランスファー効率が低いため、画像としては弱く、さらに超高感度のカメラが必要であろう。精製蛋白を化学的に蛍光標識する代わりに、green fluorescence proteinとbluefluorescence protein(GFP.BFP;ともに、クラゲ蛍光蛋白質)とそれぞれ融合させたアクチンを細胞内で発現させることを試みている。現在GFP-アクチン遺伝子の発現に問題があり、検討中である。この両蛍光蛋白質間でもエナージトランスファーが起こることが報告されているので、細胞内の繊維化アクチンを可視化できると考えられる。
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