研究課題/領域番号 |
10878132
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研究種目 |
萌芽的研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
発生生物学
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
高橋 三保子 筑波大学, 生物科学系, 教授 (90006453)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1999年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1998年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | ゾウリムシ / 形態形成 / Cytotaxis / 顕微手術 / 表層パターン / Paramecium multimicro-nucletum / Blepharisma japonicum / 微小手術 / 再生 |
研究概要 |
ゾウリムシなどの単細胞繊毛虫類でみられるCytotaxisと呼ばれる現象は、表層繊毛列の配列が遺伝子の違いには関係がなく、旧いパターンが新しく作られるパターンを決定することをいう。オネガネラの自己構築による形態形成という多細胞生物では解析の難しい、しかし、形態形成解析には重要でユニークな解析を目指し、異種繊毛虫のグラフトを試みたものである。 1.同種繊毛虫のグラフト:ブレファリスマやラッパムシは同種間では成功した。しかし、ゾウリムシやスチロニキアでは同種間でも成功していない。切断及び再生はゾウリムシでも成功しているが、グラフトには膜の硬さの影響することを考慮し温度・メチルセルロース処理・培地の効果を検討したが、いずれも成功していない。 2.異種間繊毛虫のグラフト:外科手術によるグラフトは、同種では成功したブレファリスマとラッパムシでも成功していない。ゾウリムシでは接合が細胞の部分的融合を伴うことを利用して、異種間接合を誘導した。接合対形成には成功し、機械的な押し付けやヒートショックを組合せる方法も試みたが、ダブレット形成には至っていない。 3.成果としては、ブレファリスマを縦切断したとき、両端が頭部と認識される再生過程を辿ることが分かった。形態形成における極性物質の存在を強く示唆しており、今後の重要課題である。また、異種間グラフトでは膜融合における種特異性を認識させる結果となった。現在、種特異性をもたらす遺伝子支配を緩和する手だてとして、スチロニキアの大核核質をゾウリムシに移植する実験を行っている。異種間繊毛虫の大核核質を移植する実験系はゾウリムシの仲間では成功しており、グラフトの成否のみならず、どのような表層パターンになるかはまさにCytotaxisの観点からも重要な示唆が得られると期待される。
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