研究課題/領域番号 |
10878134
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研究種目 |
萌芽的研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
発生生物学
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
渡辺 一雄 (渡邊 一雄) 広島大学, 総合科学部, 教授 (00158619)
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研究分担者 |
細谷 浩史 広島大学, 理学部, 教授 (90183102)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1999年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
1998年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 蝶の斑紋 / MAPキナーゼ / 斑紋形成 / 蝶の斑紋形成 / 翅芽 / アゲハチョウ |
研究概要 |
1997年、Gabayらによって、ショウジョウバエの発生初期の翅芽において、将来の翅脈のプレパターンが活性化MAPキナーゼ(dp-ERK)によって染め出されることが示されて以来、同様のプレパターンが、蝶の翅における斑紋のプレパターンとして示されることを期待して本研究は構想された。以下の結果が得られた。 (1)燐酸化および非燐酸化MAPキナーゼの抗体を使用するので、これが蝶における記述に耐える特異性を持つか否かの検討を行った。入手できたヒトMAPキナーゼ抗体で、燐酸化MAPキナーゼについては抗原のアミノ酸配列がヒトとショウジョウバエで全く同一であったが、非燐酸化MAPキナーゼについては8/13の違いがあった。蝶における使用にも耐えるか否かの検討のため、ナガサキアゲハ(蝶)の幼虫ホモゲネートによるウェスタンブロッティングの結果、燐酸化MAPキナーゼは1/10希釈で、非燐酸化MAPキナーゼは1/100希釈でそれとおぼしいバンドがうすく得えられた。この結果、これではin situ hybridization実験の一発で陽性、非陽性の判断ができることは期待薄と判断した。 (2)そこで、優良な抗体が得られた場合のin situ hybridization実験に備えて、蝶の翅芽の気管系および翅脈の構造的、機能的変化の精密な正常発生の記載を行った。蝶蛾に関しては、1935年の基本文献以降、見るべき記載がない。蝶蛾の場合、5令初期に認められる背側上皮と腹側上皮の重なり目の間隙(ラクナ)のパターンが将来の翅脈のプレパターンに対応するとの確証を得た。また、鱗粉列の形成に第一次気管から伸びるランプブラシ状の蛹期トラキオールのパターンが深く関係することが判明した。 今回の研究によって、蝶の翅脈依存型斑紋のプレパターンを燐酸化MAPキナーゼで染め出すには至らなかったが、将来、優良な燐酸化、非燐酸化MAPキナーゼ抗体さえ得られれば、すぐさまin sute hybridization実験に入り、本質的な議論が可能な段階にまで実験系の準備を整えることができた。これらの結果は、1999年11月別府市で開かれた日本鱗翅学会第46回全国大会において発表した。
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