研究課題/領域番号 |
10878141
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研究種目 |
萌芽的研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経化学・神経薬理学
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
宮本 英七 熊本大学, 医学部, 教授 (50109659)
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研究分担者 |
笠原 二郎 熊本大学, 医学部, 助手 (10295131)
山本 秀幸 熊本大学, 医学部, 講師 (60191433)
福永 浩司 熊本大学, 医学部, 助教授 (90136721)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1999年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1998年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | シナプス伝達長期増強 / 学習 / 長期記憶 / MAPキナーゼ / CaMキナーゼII / 遺伝子発現 / 神経活動依存性 / 脳由来神経栄養因子 / 記憶 / 転写因子 / 阻害薬 |
研究概要 |
mitogen-activated protein kinase(MAPキナーゼ)は、もともと細胞増殖因子受容体のチロシンキナーゼ活性化反応後に、細胞内に惹起される反応のカスケードの中で活性化され、遺伝子発現に関与している。本研究では、MAPキナーゼ活性化反応を介して、神経活動依存性に促進する遺伝子発現機構の解明を目指した。 Sweattら(アメリカ)は、海馬CA1領域におけるシナプス伝達長期増強(LTP)誘導時に、MAPキナーゼ活性化反応が惹起されることを報告した。私達は以前から、神経細胞において、グルタミン酸受容体刺激に続いてMPAキナーゼ活性化反応を観察した。したがって、本研究では、LTP誘導時におけるMAPキナーゼ活性化反応との相関性を解析した。1)成熟ラット海馬切片を用い、CA1領域への入力線維に100Hz、1秒間の電気的高頻度刺激を与え、LTPを誘導した。MAPキナーゼ活性は、LTP誘導後3分でピークを示し、その後、急速に減少した。2)100Hz、0.12秒間の短時間高頻度刺激および50ng/ml脳由来神経栄養因子(BDNF)は、それぞれ単独ではLTP誘導を惹起できなかったが、両者を同時に作用させると、LTPを誘導させることができた。MAPキナーゼ活性は、それぞれ単独刺激および両方の刺激下のいずれにおいても、活性化されなかった。一方、CaMキナーゼII活性は、BDNF単独のみにおいても、わずかの上昇がみられ、両方の刺激において、さらに上昇した。以上の結果は、LTP誘導にはMAPキナーゼ活性は相関せず、CaキナーゼIIが密接に相関していることを示している。MAPキナーゼはLTP維持に関与していることを示唆している。
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