研究課題/領域番号 |
10878153
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研究種目 |
萌芽的研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経・筋肉生理学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
福島 菊郎 (1999) 北海道大学, 医学部, 教授 (70091486)
佐藤 寿和 (1998) 北海道大学, 医学部, 助手 (20292013)
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研究分担者 |
鈴木 康夫 北海道大学, 医学部, 講師 (40221329)
福島 菊郎 北海道大学, 医学部, 教授 (70091486)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1999年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1998年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | サル / 視線運動 / 滑動性眼球運動 / 前庭動眼反射 / 小脳片葉・腹側傍片葉 / 小脳虫部 / 前頭眼野 / 視標速度 / 適応学習 |
研究概要 |
脳は視覚入力を適切に取り込むために、種々の眼球運動サブシステムを使い分けるが、実際の運動中はサブシステムが単独で働くことは殆どなく、サブシステム同士で干渉しながら視覚入力を取り込む。さらにこのような干渉が持続すると、これらサブシステムにおける適応学習をも引き起こす。本研究では、まず視線信号の形成における滑動性眼球運動と前庭動眼反射系の干渉機構を調べるため、訓練した日本サルを用い、小脳虫部から滑動性眼球運動に応答した42個のプルキンエ細胞活動を、滑動性眼球運動、前庭動眼反射抑制課題、前庭動眼反射(x1)課題を用いて調べた。虫部の滑動性眼球運動に応答したプルキンエ細胞は、殆どすべて、前庭動眼反射抑制課題にも応答し、両課題における最適応答方向はあらゆる方向を向いていた。個々の細胞について応答特性を詳細に調べると、約半数の細胞は、滑動性眼球運動と前庭動眼反射抑制課題における最適応答方向がほぼ一致し、両課題における個々の細胞の応答の大きさは、有意に相関したが、前庭動眼反射(x1)課題とは有意の相関を示さなかった。この結果は、虫部の応答が、前回調べた前頭眼野の応答と類似することを示す。次に滑動性眼球運動と前庭刺激の干渉による適応学習機構を調べるため、両刺激を直交軸で与え、この干渉刺激の訓練中に前頭眼野の滑動性眼球運動応答ニューロンを記録し、同一ニューロンの応答を訓練前後で比較した。訓練前は完全な暗黒下での前庭回転刺激単独によっては、この刺激と直交する眼球運動応答は見られず、ニューロン応答も見られなかった。30-60分の訓練後、直交軸に前庭回転刺激単独により、有意な眼球運動応答が出現し、それに対応してニューロン応答も出現した。以上の結果は、滑動性眼球運動と前庭刺激の干渉による適応学習には、小脳片葉・傍片葉のみならず、前頭眼野も関わることを示唆する。
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