研究分担者 |
斎藤 政彦 神戸大学, 理学部, 教授 (80183044)
清水 勇二 京都大学, 大学院・理学研究科, 講師 (80187468)
宮岡 洋一 京都大学, 数理解析研究所, 教授 (50101077)
藤原 一宏 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 講師 (00229064)
桂 利行 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (40108444)
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研究概要 |
オランダは我が国とともに数論的代数幾何学の研究で世界をリードする立場にある.数論的代数幾何学の研究は従来の代数幾何学や数論的な観点からの研究に加えて,数理物理学的観点からの研究が盛んになってきている.両者の研究は代数曲線,K3曲面,カラビ・ヤウ多様体の研究およびこれらの多様体のモジュライ空間の研究を通して密接に関係している.本研究ではオランダの数学者,数理物理学者との共同研究のための準備の意味を込めて,主として数理物理学的観点から研究を行った.上野とシミズのグループは共形場理論を数論幾何学的観点から研究し,KZB方程式の具体形を求めること,およびモジュラー函手を非アーベル的共形場理論とアーベル的共形場理論の分数ベキのテンソル積を使って構成することに成功した.斎藤のグループはある種の楕円曲面に含まれる高い種数の曲線の数え上げに関する母函数を求めることに成功した.さらに数理物理学で最近重要になりつつあるパンレヴェ方程式に関して,初期値空間と有理曲面との関係を明らかにし,パンレヴェ方程式に関連する有理曲面の分数と構成法との完全なリストを与えた.桂は正標数の代数多様体の幾何学を数論的幾何学の正標数での局所化と捉える観点から研究を行い,新しい知見を得た.また宮岡は高次元のカラビ・ヤウ多様体とそのモジュライ空間に関して研究を行い,藤原は実2次体上定義されたアーベル多様体の数論幾何学的性質について詳細な研究を行った. なお12月にアムステルダム大学のvan der Geer教授のレビューを受け,共同研究としてモジュライ空間の幾何学を中心に日本とオランダの研究者の交流に関して具体的なプランを検討した.
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