研究課題/領域番号 |
10894016
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 企画調査 |
研究分野 |
気象・海洋・陸水学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
中島 映至 東京大学, 気候システム研究センター, 教授 (60124608)
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研究分担者 |
秋元 肇 東京大学, 先端科学研究センター, 教授 (50101043)
高橋 正明 東京大学, 気候システム研究センター, 教授 (70188051)
沼口 敦 東京大学, 気候システム研究センター, 助教授 (30237797)
住 明正 東京大学, 気候システム研究センター, 教授 (10179294)
太田 幸雄 北海道大学, 工学部, 教授 (00100058)
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研究期間 (年度) |
1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
1998年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
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キーワード | アジア / 生物マス燃焼 / 広域大気汚染 / エアロゾル |
研究概要 |
本研究では次のような研究成果を得た。 (1) 生物マス燃焼と化石燃料消費によって発生するガスとエアロゾルが放射強制力を通してひき起こす気候影響について検討をした。そのためにCCSR/NIES大循環気候モデルにエアロゾル生成に関わるガス反応、エアロゾル生成メカニズムを取り込んだ。それによるエアロゾル分布の全球シミュレーションの結果、全球分布の特徴はほぼ再現された。 しかし、季節変化や分布の詳細を再現するためには、モデル空間分解能の向上とアジア地区におけるガスとエアロゾルの発生源の詳細データが必要なことが明らかになった。また、アジア域では工業起源の硫酸塩エアロゾル、生物マス燃焼起源エアロゾル、砂塵性エアロゾルが複雑に混合していることが示された。混合比と光学的厚さは場所、季節、年で複雑に変わるので、その再現と予測にはモデル、人工衛星データ解析、地上観測を多面的に組み合わす必要があることが分かった。また、北太平洋やインド洋への流れだしも数千kmにもおよび、清澄な海洋大気への影響を調べることが重要であることが明らかになった。 (2) 生物マス燃焼による地表面状態の変化の気候影響について検討をした。1997年のインドネシア森林火災を例に取り、観測結果や他の研究結果を基に多面的に考察を行った。その結果、放射強制力を算定するために重要なパラメーターとなる煙の光吸収能は、生物マスの種類、火災温度、水蒸気の取り込み量によって異なり、場合ごとのモデリングが必要なことが明らかになった。泥炭層から亜硫酸ガスの排出量も測定する必要がある。さらに放射強制力に及ぼすオゾンとエアロゾルによる相補的効果を定量的に把握するためには、オゾン鉛直分布の適切な推定も必要なことが明らがになった。 (3) 現在、国際的および国内的に行われている研究プロジェクトおよび将来計画されているプロジェクトを調査し、本課題研究に必要なデータを取得するための、観測点、観測装置、重点観測期間などを考察した。その結果、タイ域、インドネシア域、中国域、モンゴル域、韓国域、日本周辺に観測点を効率良く配置するのが良いことが明らかになった。現在、タイ、Sri-Samrongおよび中国、Shou-Xianに展開しているサイトへの集中資本投下が効率的である。不足している機器として、マイクロ波放射計、ライダー、光吸収計、ネフロメーターなどであり、それらの投入によって大気放射と大気化学的観測を結合する必要があることが明らかになった。また、船舶による観測についても重要であり、その手法の検討を行った。
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