研究分担者 |
後藤 仁志 京都大学, 工学研究科, 助教授 (40243068)
泉 典洋 東北大学, 工学研究科, 助教授 (10260530)
渡辺 明英 広島大学, 工学部, 助教授 (00240474)
清水 義彦 群馬大学, 工学部, 助教授 (70178995)
村上 正吾 環境庁国立環境研究所, 水土壌園環境部, 室長(研究職) (70166247)
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研究概要 |
平成9年に河川法が改正され,治水,利水に加えて親水,自然環境保全機能も河川整備・管理の目的と認識されるようになってきた.このなかで河川の自然復元は今日的課題としてちゅ木を浴び,河川水理はこれを支えるべきと考えられている.すなわち旧来的なかいすい路水理学を基礎に,移動床水理,植生水理,生息環境水理を融合したものを河川水理学として発展させ,学術の成果を技術にいかすことが求められている.本研究では,とくに「生息環境水理学」の展開をにらんでその体系化を探った. ほとんどの河川の生息環境は,水流,土砂輸送,地形変化,植生の相互作用の各サブシステムならびに総合システムとして構成されており,植生の存在やその盛衰に関連した移動床過程の記述・予測が不可欠と考えられた.こうした観点から,植生を伴う流れを離散粗度として運動量のみならず乱れエネルギー修士に関わる式にまで及んでモデル化した取り扱いを基礎に,植生周辺での移動床過程が研究された.さらに,洪水時の地形変化と洪水後の植生の繁茂の繰り返しに着目した研究が行われ,洪水・低水の繰り返しの重要性が認識された. 一方,生態系保全機能を治水・利水機能と等しく認識するための機能評価手法についての研究が進められた.とくに水理諸量,地形,植生,底質などと生息環境の適否を関連づけ(PHABSIM/Physical habitatsimulation),流量の変動に対して生息環境としての適正値がどのように変化するかを評価するシナリオ(IFIM/Instream Flow Incremental Methodology)が注目された. 本研究では,解析的あるいは実験的な方法で進められるとともに,フィールド調査を行いながら,現地調査法を整えること,数値解析,実験水路での基礎実験とフィールド調査をどのように関連づけたり補完させて,生息環境水理学の基礎学術としての確立とともに,環境影響評価の手法にいかすなど応用面についての展望についても検討を行った.
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