研究課題/領域番号 |
10896006
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 企画調査 |
研究分野 |
水産学一般
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
松宮 義晴 東京大学, 海洋研究所, 教授 (10100885)
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研究分担者 |
立川 賢一 東京大学, 海洋研究所, 助手 (20013584)
松田 裕之 東京大学, 海洋研究所, 助教授 (70190478)
原田 泰志 三重大学, 生物資源学部, 助教授 (50228657)
白木原 国雄 三重大学, 生物資源学部, 教授 (90196618)
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研究期間 (年度) |
1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1998年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 保全生物資源学 / 水産資源学 / 保全生態学 / 生態系管理 / 生物多様性 / 非定常生態系 / 産卵ポテンシャル / 多魚種一括管理 |
研究概要 |
本企画調査では、水産資源学と保全生態学とを統合した新たな学問体系を目指すものとして考案された「保全生物資源学」の発展に向けて様々な観点から検討を重ねた。特に、秩序ある漁業方式を導入し、適切な資源管理を実行し、健全な資源の持続性を確保するを目標とする学問分野の確立を図った。保全生態学の立場からは「生物多様性の保全」への具体的な保全の目標や手段が提言された。水産資源の保全と管理との関わりでは、(1)地域性のある水産資源の遺伝的多様性、(2)地域水産資源の数と量の大きさ、(3)多様な種で構成される水産資源、(4)水産資源で構成される多様な生態系、の4項目から取り組むことができる。水産資源の保全と管理を「生態系管理」の観点から取り組むことの重要性も指摘された。生態系の主要な特徴として、(1)開放系、(2)非定常性と不均一性、(3)間接効果、などが挙げられている。水産資源も生態系の重要な構成要素であるので、これらの特徴を内包している。生態系における水産資源の管理に関しても、生態系管理と同様に、説明責任、合意形成、監視、反証可能性、予防原理などの原則を取り込む必要性が強調されている。本年度に開催された生態系における水産資源管理に関する国際会議(イタリア、アメリカ)に参加し、諸外国の動向を把握することに努めた。非定常海洋生態系の変動様式を考慮しながら各魚種の年級豊度の変化を定性的に把握することを通じて生態系管理の視点から管理指針を改良する方法が論議された。非定常資源の管理指標である産卵ポテンシャル概念を発展させ、新たに多魚種一括管理指針を提唱する試みがなされた。種苗放流に関しては、天然資源や生態系に及ぼす影響を配慮し、投棄魚(再放流)や混獲問題を是正する環境調和型、あるいは生態系保全型でもある生産技術の方法が検討された。「保全生物資源学」の概念を構築し、既存学問分野との関連を総合的に検討するために国内シンポジウムを開催した。この成果は、「水産資源の管理と保全」の表題で発刊されることになっている。
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