研究課題
特別研究員奨励費
InNは窒化物半導体の中で最も長波長にバンドギャップエネルギを有し、現行の光ファイバ通信帯域のレーザへの応用が期待できる。また本材料系の特徴としてフォノンエネルギーが高いことに起因し、既存材料と比較しバンドギャップエネルギの温度依存性が著しく小さいと予測され、かつヘテロ接合により大きな障壁高さを実現できることから、温度安定性にすぐれた高出力素子の可能性を秘めている。本研究では、有機金属気相成長法(MOVPE)を用いたInN薄膜の高品質化の見込みをつけた。InNの特徴として、成長中の気相固相間の窒素平衡蒸気圧が極めて高いことを踏まえ、窒素を取り込みやすいN極性面を用い、かつ独自開発した加圧型MOVPE装置を用いてInNの熱分解を抑制し、十分な窒素分圧を供給しながら、結晶高品質化に必須である高温下での成長が可能であることを明らかとした。実際に、加圧型MOVPE装置を用いて結晶成長を試みたところ、原料供給比を変化させたストイキオメトリ制御により若干InNリッチ条件において室温でのバンド端発光と残留キャリア濃度の低減(10^<18>cm^<-3>台)を実現したが、その際高温成長ではInドロップレットの偏析による構造品質の微妙な低下が認められた。これは高温化に伴う部分的なInNの熱分解による偏析と、それに伴う成長異常が発生したものと考えられ、成長限界温度を明らかにした。一方、比較的低温で成膜した場合、X線回折極点図測定による構造特性評価ならびに、電子線後方散乱回折(EBSD)を用いた相の分布評価結果によると、準安定相である立方晶InNとその双晶の混在が認められた。これらの構造解析結果をもとに、更なる高品質化の指針が得られた。
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