研究課題/領域番号 |
10F00080
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 外国 |
研究分野 |
材料加工・処理
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
堀田 善治 九州大学, 工学研究院, 教授
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研究分担者 |
EDALATI Kaveh 九州大学, 工学研究院, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2010 – 2012
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研究課題ステータス |
完了 (2012年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2012年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2011年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2010年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
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キーワード | 高圧ねじり変形加工 / 巨大ひずみ加工 / 原子結合エネルギー / 水素拡散 / 微細結晶粒 / 水素貯蔵 / 金属間化合物 / FeTi / マグネシウム / 水素吸蔵 |
研究概要 |
本研究では、加工しても形状が変わらない巨大ひずみ加工法を利用して水素貯蔵特性の向上を目指すことを目的とした。巨大ひずみ加工法として超高圧ねじり変形(High-Pressure Torsion:HPT)法と呼ばれる加工技術を利用した。 この加工法は延性が低く強度の高い材料にも適用でき、格子欠陥が導入できることが特徴である。水素貯蔵合金には高強度で低延性の金属間化合物(FeTiやMg2Niなど)が適することが知られている。本研究では、前年度作製し、組織観察や硬度測定したTiFe金属間化合物の水素吸蔵・脱蔵特性をシーベルト型装置を用いて調べ、水素吸蔵・脱蔵メカニズムを考察した。 1.HPT加工したFeTiは活性化処理することなく水素吸蔵・脱蔵特性を示した。水素吸収量は1.7wt%とほぼ理論値(1.9wt%)に近い量となった。 2.HPT加工によるひずみ量の依存性を回転数0~10回転として調べたところ回転数が1/4回転でも水素吸蔵・脱蔵を示すことが分かった。 3.HPT加工したFeTi金属間化合物は長期に大気中に曝した後でも活性化処理することなく水素吸蔵・脱蔵特性を示した。 4.X線回折(XRD)、透過電子顕微鏡(TED)、走査電子顕微鏡(SEM)とともに、X線光電子分光法(XPS)、オージェ電子分光法(AES)で表面および内部組織観察を行ったところ、HPT加工で導入された格子欠陥により水素原子の拡散が高速に起こり、Fe酸化物の表面偏析が誘発され、同時に微小クラックが異種の酸化物の周りに形成されることで水素透過能が高まり、TiFeの内部にできた格子欠陥(たとえば転位)に水素がトラップされて圧力変化に対する水素脱像・吸蔵機能が高まったことが原因と考察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
HPT加工をFeTi合金に適用したところ、活性化処理することなく水素吸蔵・脱蔵特性を示すことが分かった。HPT加工技術による水素貯蔵特性の高性能化が科学的証明されたばかりでなく、FeとTiのみのレアアースを含まない極めて安価な水素吸蔵合金の開発に成功できたことで、実用的にも水素ステーションなどの水素エネルギー貯蔵技術の大幅なコストダウンが期待できる結果となった。 本研究成果は、日本経済新聞(平成25年2月26日(火)朝刊)や讃費新聞(平成25年3月16日(土)朝刊)などでプレスリリースを行った。また、本研究開発技術の有効利用を目指して特許出願も行った。
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今後の研究の推進方策 |
実用性を考慮して、HPT加工の大型化とともに、水素エネルギー貯蔵技術に適用していく場合の材料製造技術の開発が望まれる。
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