研究課題
特別研究員奨励費
研究代表者らは、稲作害虫トビイロウンカのDNAマーカー遺伝地図の作製に世界で初めて成功した。イネの主要害虫である「トビイロウンカ」の遺伝子の目印となる518個のDNAマーカーを開発し、これらDNAマーカーの染色体上の位置を明らかにすることで、遺伝地図を作製した。害虫の様々な形質に関わる遺伝子の探索と同定には、遺伝地図が不可欠であり、トビイロウンカの遺伝地図を作製したことで、DNAマーカーの染色体上の位置を手がかりに遺伝子を見つけだすことが可能となる。これにより、ウンカ類抵抗性品種への加害に関わる遺伝子やトビイロウンカの殺虫剤抵抗性に関わる遺伝子の特定が加速化し、抵抗性作物品種の開発や害虫への効果が持続する殺虫剤の開発につながると期待される。さらに研究代表者らは、イネのトビイロウンカ抵抗性遺伝子に対する加害性因子に関わるウンカゲノム領域の特定するために、これら遺伝地図上の518個のDNAマーカーを足がかりとして、イネのウンカ類抵抗性遺伝子に対するウンカの加害性に関わるトビイロウンカゲノム領域を推定した。供試材料には、イネのウンカ抵抗性遺伝子に対する加害性に違いのあるトビイロウンカ系統間の交配に由来するF_2集団(81個体)を用い、甘露排出液の量による加害性のQTL解析を行った結果、加害性に関わる遺伝因子のひとつがトビイロウンカ連鎖群、LG14上に座乗した。
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DNA Research
巻: 20 号: 1 ページ: 17-30
10.1093/dnares/dss030