研究課題/領域番号 |
10F00431
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 外国 |
研究分野 |
眼科学
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
望月 學 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授
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研究分担者 |
WANG J. 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 外国人特別研究員
WANG J 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2010 – 2012
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研究課題ステータス |
完了 (2012年度)
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配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
2012年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2011年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2010年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
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キーワード | 加齢黄斑変性 / 脈絡膜新生血管 / ドルーゼン / 網膜色素上皮 / アミロイドβ / ブルッフ膜 / high temperature requirement A1 / elastic layer / 脈絡膜血管新生 / Bruch膜 / elastin / HTRA1 / 血管内皮前駆細胞 / fractalkine / CX3CR1 |
研究概要 |
加齢黄斑変性(AMD)は先進諸国における中高年の失明原因の首位であり、高齢化社会の進行に伴い今後益々罹患人口が増加すると危惧される。AMDでは高度の視力障害を惹起する滲出型AMDが問題であり、滲出型AMDの病態は網膜色素上皮(RPE)の変性に伴う脈絡膜新生血管(CNV)である。CNVの発生には、ブルッフ膜のelastic layerの破綻が不可欠であることが証明されている。しかし、CNV形成過程にelastic layerが破綻する機序は不明である。そこで我々は、AMDの前駆病変であるドルーゼン中のアミロイドβ(Aβ)に着目し、Aβ蓄積に伴うブルッフ膜のelastic layerの破綻を惹起する機序を解明した。 具体的には、1)Aβ刺激により、マウスとヒトRPE細胞におけるhigh temperature requirement A1(HTRA1)の発現が有意に上昇した。2)AβがHTRA1と結合し、HTRA1のelastinを分解する活性を亢進させた。3)Aβを過剰に蓄積する二重変異マウス(APP Tg X NEP-/-マウス)において、RPE細胞におけるHTRA1の発現が有意に上昇した。4)APPTgXNEP-/-マウスにおいて、野生型マウスと比較し、ブルッフ膜のelastic layerが分解され、elastic layerの厚みとintegrityが著明に低下していた。4)APP Tg XNEP-/-マウスでは、CNVが自然的に発生しなかった。 以上の研究により、AβはRPE細胞におけるHTRA1の発現お及び活性を両方とも亢進させることによって、ブルッフ膜のelastic layerを分解し破綻させ、CNVの発症を促進する可能性を明らかにした。Aβ蓄積からCNV発生に至る重要なプロセスである、ブルッフ膜のelastic layerの破綻に関する主たる分子機構が解明し予防治療に結びつけようとするものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
ARを過剰に蓄積する二重変異マウス(APP Tg X NEP-/-マウス)において、CNV発生の前提であるブルッフ膜のelastic layerの破綻を電顕的かつ光顕的に証明できたとともに、AMD発症の最も危険因子である加齢と高コレステロールにより、Aβが特異的に網膜下に蓄積することもin vitroとin vivoで明らかにした
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今後の研究の推進方策 |
ブルッフ膜のelastic layerが破綻しているAPP Tg X NEP-/-マウスでは、CNVが自然的発生していなかった。これからは、APP Tg X NEP-/-マウスを用い、血管新生促進因子(VEGF)を過発現させることにより、CNVが自然的発生するかを調べる予定である。
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