研究課題/領域番号 |
10F00514
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 外国 |
研究分野 |
化学系薬学
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研究機関 | 公益財団法人微生物化学研究会 |
研究代表者 |
柴崎 正勝 公益財団法人微生物化学研究会, 微生物化学研究所, 所長
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研究分担者 |
CHAUDHARY Sandeep 公益財団法人微生物化学研究会, 微生物化学研究所・有機合成研究部, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2010 – 2012
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研究課題ステータス |
完了 (2012年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2012年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2011年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2010年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
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キーワード | 不斉合成 / リレンザ / アトルバスタチン / チオアミド / アルドール反応 / 不斉触媒 / 医薬品合成 / 原子効率 / 不斉触媒反応 / ダイレクトアルドール反応 / インフルエンザ / oxy-Michael反応 / 医薬化学 / atorvastatin / ニトロアルドール反応 / 異種2核錯体 / 不均一系錯体 / 1,2-アミノアルコール |
研究概要 |
触媒的不斉合成は、低分子有機化合物の立体選択的合成における最も効率的な方法論である。本研究の主眼は、我々が有する協奏機能型不斉触媒技術を重要医薬品の短工程不斉合成法の開発に応用し、協奏機能型不斉触媒の実践的応用性を示すことである。 我々が開発したanti-選択的触媒的不斉ニトロアルドール反応、及びチオアミドの触媒的不斉ダイレクトアルドール反応を、抗インフルエンザ薬のリレンザ、及び高脂血症治療薬のアトルバスタチンに適用し、環境調和型短工程合成法を確立させるべく研究に着手した。 リレンザのジヒドロピラン骨格形成にPrins-Ritter反応の利用を計画していたが、種々検討した結果、本方法論での骨格構築が困難であることが判明した。合成ルートを変更し、ヘミアセタール化・脱離を経る環化反応の検討を開始したが、望みの環化体は得られなかった。新たな環化法として、オキソニウムカチオン形成・分子内Sakurai反応によるテトラヒドロピラン環構築を検討したが、環化体を得るには至らなかった。リレンザのジヒドロピラン骨格構築は非常に困難であると考えられたため、我々が開発したチオアミドの触媒的不斉ダイレクトアルドール反応を利用するアトルバスタチンの触媒的不斉合成を行うこととした。第1世代型合成法では13工程かかっていたが、合成ルートを再構成し、分子内oxy-Michael反応をアルドール反応と並ぶ鍵工程とする第2世代型合成法を立案し、全9工程での合成を目指した。銅/Ph-BPE触媒を用いるチオアミドの触媒的不斉ダイレクトアルドール反応は奏功し、未精製のままLiA1H4で還元することで、配位子の回収とチオアミドの還元を同時に達成し、酸処理により望みのジオールを得た。一級アルコールの選択的酸化に続くWittig反応により不飽和エステルへと導いた後、分子内oxy-Michael反応によりsyn-ジオール部位を構築した。N上のアリル基の脱保護の後、Paar-Knorr法によりピロール環を構築し、アセタールの脱保護、tBuエステルの加水分解を経てアトルバスタチンを得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
非常に効率の高いアトルバスタチンの短工程不斉合成法の確立に成功した。本研究成果に関する論文は、Chemistry A European Journal誌において、very important paperに選出されている。
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今後の研究の推進方策 |
鍵反応であるチオアミドの触媒的不斉アルドール反応を工業的規模で実施可能にするべく、低温・不活性ガス下での反応実施を必要としないrobustな反応条件を探索する。
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