研究課題/領域番号 |
10F00719
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 外国 |
研究分野 |
マイクロ・ナノデバイス
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
年吉 洋 東京大学, 生産技術研究所, 教授
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研究分担者 |
TORTISSIER Gregory 東京大学, 生産技術研究所, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2010 – 2011
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研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2011年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2010年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | MEMS / 大面積MEMS / 印刷MEMS / アクチュエータ / 静電駆動 / ディスプレイ / パワーMEMS / マイクロマシニング |
研究概要 |
近年の情報技術の発展に伴って、柔軟で、かつ、持ち運びが可能な大面積画像ディスプレイの需要が高まっている。研究代表者らはこれまでに、プラスチック・フィルムをロール・ツー・ロール印刷技術を用いてMEMS加工することで、静電駆動型のファブリ・ペロ干渉計アレイを製作し、それをもちいて白色光源から赤、青、緑の3色の光を選択的に透過するカラーピクセル型の画像ディスプレイを開発してきた。この研究では、厚さ16μm程度のPENフィルム上に、グラビア印刷やフレキソ印刷を用いてマイクロパターンを形成し、それらのインクをモールド(鋳型)としたリフトオフ型の金属パターン形成を実施した。しかしながら、従来のこの方法ではパターンの変更の度に印刷用のロール原盤を加工し直す必要があり、多品種少量型のMEMSプロセスとの整合性が悪いことが課題であった。そこで本研究では新たに工業用のインクジェットプリンタを用いてCAD上で設計した任意のマイクロパターンをプラスチック・フィルム上に印刷で形成し、それによってスループットの高い印刷MEMSプロセスを実現した。また、プラスチック・フィルム表面におけるインクの濡れ性について調べ、テフロン系の膜を選択的に薄膜堆積することでフィルム表面の親水性/疎水性の別を制御して、パターン精度と分解能を改善することができた。さらに、圧電ポリマーであるPVDFフィルムの上に金属電極パターンを形成し、外部から印加した応力によって発電するパワーMEMS素子を学内他研究室との共同研究により開発した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究の最大の課題であった、インクジェット印刷によるマイクロパターンの精度、解像度に関して、対象となるプラスチック・フィルム表面の改質によって親水性と疎水性の制御が可能となり、従来の問題を克服した。この成果は、平成23年度中に学術論文として投稿し、すでに掲載されている。また、副産物的な研究成果として、応力から発電する圧電ポリマーを用いたパワーMEMSデバイスの試作に成功した。本件は国際会議発表論文としての採択が決まっている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究によって、MEMS構造の鋳型となるリフトオフ・パターンがインクジェット印刷によって可能であることが示された。今後は、リフトオフ・プロセスの対象となる材料の選択肢を増やすとともに、そのスループット(プロセスに要する時間)を改善する必要がある。
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