研究課題/領域番号 |
10F00769
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 外国 |
研究分野 |
素粒子・原子核・宇宙線・宇宙物理(理論)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大塚 孝治 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授
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研究分担者 |
ANDERSON James 東京大学, 大学院・理学系研究科, 外国人特別研究員
ANDERSON James Stewart Murray 東京大学, 大学院・理学系研究科, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2010 – 2012
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研究課題ステータス |
完了 (2012年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2012年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2011年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2010年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
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キーワード | 原子核構造 / 電子構造 / 核物理学 / GKCI法 / モンテカルロ模型 / ヘリウム4 / 重陽子 / 調和振動子基底 / NuShell / 重水素 / 計算量理論 / 多電子系 / グリッド / 多次元グリッド / シェルモデル / 殻模型 / モンテカルロ殻模型 / クラスター模型 |
研究概要 |
受け入れ研究者の専門分野である原子核物理学理論と、当外国人特別研究員のJamesAnderson氏の専門分野である理論化学の間には、研究対象がそれぞれ原子核と原子・分子であり、スケールが10000倍違う、というような見かけ上の大きな差異がある。しかしながら、核子、或は、電子というフェルミ粒子の多体系を扱っており、理論計算を行う上での共通性は多々存在する。特に、時間に依存しない問題において、与えられたハミルトニアンに対して、やはり与えられたヒルベルト空間内でのエネルギー固有状態を求める、というように問題設定をすると潜在的には強い関連がある。これを探り、双方にとって相手方の方法論を導入する試みを行ってきた。 以上の試みの一つとして、原子核の量子多体構造を第一原理的に解明する理論計算を取り上げた。これは、世界的にもいくつかの方法論が提案され発展させられているものの、いまだに十分には達成できていない重要課題である。 Anderson氏は、受け入れ研究者の研究グループのメンバーと共同して、これまで自ら発展させ、理論化学で広く使われてきたGKCI法を原子核物理学向けに改良した。これまで原子核物理学の理論計算で使われて来た方法論のどれとも異なる側面を持っており、それがどう機能するかは大変興味深い問題である。そこで、それを原子核物理学のいくつかの問題に適用した。例題として扱われたのは、重陽子、ヘリウム3、4、6などの原子核の構造である。設定したヒルベルト空間を拡げていった場合の収束性なども調べた。ゆるく束縛された状態などに大変興味深く、有用な性質を示した。今後さらに研究を進め、主要国際学術誌に論文を投稿すべく準備を進めている。 この研究と並行して、原子核物理学でのモンテカルロ殻模型の方法論を原子・分子の電子系に適用する研究も、受け入れ研究者の研究グループのメンバーと共同して、進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
James Anderson氏は、自身のオリジナリティとして進めてきた原子・分子での電子多体系のための方法論を原子核での核子多体系に使えるように見事に拡張した。その有効性を示すところまで達成したのは大きな進歩であり、当初の計画以上に進展したのは明らかである。
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今後の研究の推進方策 |
James Anderson氏とは、特別研究員の任期終了後もメールなどにより連絡を取りつつ共同研究を続けている。特に、平成25年1月末から2月初めには、東京に短期滞在して講演をしていただき、議論も行った。現在の主要な共同研究事項は共著で出版する論文の原稿執筆である。徐々に進んでいる。
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