研究課題/領域番号 |
10F00782
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 外国 |
研究分野 |
基礎ゲノム科学
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
CARNINCI Piero 独立行政法人理化学研究所, ゲノム機能研究チーム, チームリーダー
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研究分担者 |
FORT MatthewAlexandre 独立行政法人理化学研究所, ゲノム機能研究チーム, 外国人特別研究員
フォート マシュー・アレクサンダー 独立行政法人理化学研究所, ゲノム機能研究チーム, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2010 – 2012
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研究課題ステータス |
完了 (2012年度)
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配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
2012年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2011年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2010年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | ランスクリプトミックス / 幹細胞 / レトロトランスポゾン / 非コードRNA / transcriptomics / non-coding RNA / retrotransposons / stem cells / pluripotency / 多能性 / 肝細胞 / ncRNA |
研究概要 |
多能性状態に特異的な非翻訳RNA(ncRNA)を同定すべく、特に核・レトロトランスポゾン由来の転写物に着目し、幹細胞の非翻訳トランスクリプトームを包括的にプロファイルした。LTR由来転写物がヒト・マウス幹細胞の核トランスクリプトームの複雑さに重要な役割を果たし、多能性と関連していることを証明。幹細胞の活性プロモーターの包括的プロファイルに加え、未解明だった哺乳類幹細胞内でのレトロトランスポゾン由来転写物の役割を明らかにした。 方法:第一に高度ハイスループット・トランスクリプトミクス技術を用い、核・細胞質内のポリアデニル化RNA・非ポリアデニル化RNAの分析に基づき、代表的なヒト・マウス幹細胞の非翻訳トランスクリプトームを大規模プロファイルした。幹細胞とiPS細胞を含むマウスとヒトの多能性細胞株11株を使用。第二段階では第一段階で同定した幹細胞に特異的な新規ncRNAが多能性の遺伝子制御に直接及ぼす影響をテストすべく、150組の候補について機能喪失・機能獲得実験を行った。 予定期間内にトランスクリプトミクス・データを作成。バイオインフォマティクス分析も完了。分化細胞よりも幹細胞で活発なプロモーターの分析から、核トランスクリプトームが従来知られていた以上に複雑であることが判明。特にマウスとヒトのデータセットで同定された幹細胞内で発現上昇している全CAGEクラスターのうち、それぞれ46%(8,873)と30%(3,043)は幹細胞に特異的な新規転写物の可能性がある。これらのRNAは主に核内にあり、mRNAより発現レベルが低く、比較的短い。その上、偶然よりも高い頻度で特定のレトロトランスポゾン因子に由来している。機能喪失実験からのデータは、iPS細胞内でBGLII、RLTR9E、RLTR17マウス因子からのLTR関連転写物がノックダウンされている場合、既知の幹細胞性マーカー遺伝子Nanogの発現が大幅に影響を受けることを示唆。上記の結果は、多能性の制御における、これらの転写物の明確な役割を示している。 結論:幹細胞の包括的トランスクリプトーム・プロファイルから、核の複雑性が予想以上に高いことが判明。その大半がタンパク質をコードしないレトロトランスポゾン関連転写物からなり、一部は制御領域の産物であった。本研究は多能性維持の制御におけるレトロトランスポゾン因子の主要な役割を解明。我々の知る限り、他の細胞経路について、反復因子が遺伝子制御にこれほど大きく貢献していることを証明した例はない。
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