研究課題
特別研究員奨励費
ジピリンはポルフィリンの部分構造であり、特にそのホウ素錯体のBODIPYは強い発光特性をもつことから、基礎からバイオイメージングなどの応用にわたる非常に幅広い分野の研究者から注目を集めている。しかしジピリンは多様な金属や典型元素との錯形成が期待されるにもかかわらずホウ素以外の錯体の報告例は極めて限られている。そこで本研究においては、これをさらに一段進めて、ジピリン骨核に水酸基やチオール基などの配位性官能基の導入や、ピリジンあるいはチオフェンなどの複素環の導入による新規ジピリン錯体の構築、ジピリンのオリゴマー化による機能性超分子ジピリン錯体の創出、の二つを目標とした。すなわち、新規な光学特性をもつ分子群の創出に加え、分子認識能や触媒能を持つジピリン錯体の開発を目指した。本年度は実質3ヶ月と少しの研究期間であったため、基本となる骨核合成の検討を主体に行った。特に、ジピリンのメソ位にベンゼン環をもつ誘導体のうち、ベンゼン環のパラ位にチオフェン環を1つあるいは2つ以上有するジピリン誘導体や、直接チオフェン環で架橋したビスジピリン誘導体の合成について検討した。最も単純な骨核であるチオフェン環1つで架橋した目的化合物の前駆体である、ジピロリルメチル基を2,5位にもつチオフェン誘導体を合成し、目的分子への変換を試みたが生成物が不安定であったため化合物の単離には至っていない。その他の目的物についても次年度での合成に向けて種々の中間体の合成を検討中である。
すべて 2011 2010 その他
すべて 雑誌論文 (13件) (うち査読あり 13件) 学会発表 (57件) 備考 (1件)
Chem.Commun.
巻: 47 ページ: 2925-2927
Supramol.Chem.
巻: 23 ページ: 106-112
巻: 47(印刷中)
Angew.Chem.,Int.Ed.
巻: 50(印刷中)
Dalton Trans.
巻: 印刷中
J.Am.Chem.Soc.
巻: 133 ページ: 4726-4729
Chem.Eur.J
Phosphorus Sulfur Silicon Relat.Elem.
巻: 185 ページ: 1000-1007
巻: 46 ページ: 3958-3960
Eur.J.Inorg.Chem.
ページ: 3143-3152
Chem.Eur.J.
巻: 16 ページ: 10638-10643
巻: 46 ページ: 6732-6734
Bull.Chem.Soc.Jpn.
巻: 83 ページ: 969-991
http://www.chem.tsukuba.ac.jp/nabesima/