研究課題
特別研究員奨励費
本研究の狙いは、京都学派の哲学と現代フランスの哲学者たちを往還しつつ、現代の哲学的状況を見据えてそこでアウグスティヌスの思想がもちうる意義を再考使用とする点にある。一昨年度と昨年度は、西田や田辺、西谷の著作に於けるアウグスティヌスへの言及を網羅的に探査するとともに、デリダやリオタール、マリオンら現代フランスを代表する思想家たちの独創的なアウグスティヌス論を組織的に検討してきた。そして、その成果を踏まえてアウグスティヌスの自己論の現代的意義を引き出すことに努めつつ、このアウグスティヌスの新たな解釈を京都学派や現代フランス哲学研究にフィードバックしていくという作業を行ってきた。今年度は、期間も半年強と短いので、新たな成果を追うのではなく、以上の成果を研究代表者と研究分担者のそれぞれが独自のテーゼへとまとめ上げることに意を注いだ。研究代表者は、分担者からの刺激もあって、西田哲学の成立期(とくに『自覚に於ける直観と反省』から「場所」論文まで)における新プラトン主義や中世神秘主義の影響を追い、それを1930年前後におけるアウグスティヌスへの関心とつなげて理解することによって、西洋の神秘主義的な自己概念と後期西田の歴史的世界論との接点を探った。研究分担者は、京都学派の哲学的アイディアをアウグスティヌス研究に導入するだけでなく、京都学派の哲学者自体の研究をも進め、カナダの雑誌『Revues theologiques』に、西谷啓治の空思想をアウグスティヌスの『告白』の筋立てを通して読み解くという斬新な論考を発表した。
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The Japan Mission Journal
巻: vol.66, n° 4 ページ: 251-262
Etudes Ricoeuriennes / Ricoeurian Studies
巻: Vol.3,No2 ページ: 1-6
巻: Vol.3,No2 ページ: 26-37
思想
巻: 1,053 ページ: 36-56
巻: 1,053 ページ: 7-35