研究課題/領域番号 |
10F00830
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 外国 |
研究分野 |
外科学一般
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研究機関 | (独)国立成育医療研究センター |
研究代表者 |
梨井 康 (独)国立成育医療研究センター, RI管理室, 室長
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研究分担者 |
張 [キ] (独)国立成育医療研究センター, RI管理室, 外国人特別研究員
張 埼 (独)国立成育医療研究センター, 研究所・RI管理室, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2010 – 2012
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研究課題ステータス |
完了 (2012年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2012年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2011年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2010年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
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キーワード | 移植・再生医療 / 幹細胞 / 細胞・組織 / 免疫寛容 / 心移植 / Treg細胞 / 細胞療法 |
研究概要 |
期間中主に下記二つのテーマに絞って研究を行った:1.「骨髄キメラ動物作成条件、臓器移植の検討及び移植免疫寛容誘導機序の解明」においては、ラット心臓移植のモデルを用いて、移植免疫寛容誘導の機序について検討を加えた。ドナー特異的な心臓移植を行い、心臓移植片の生着が顕著に延長された。また、心臓移植100日経過後に移植片が生着しているレシピエントにおいて免疫抑制機能を有する制御性T細胞が顕著に増加したことが示唆され、移植片を解析し、心筋組織・血管の構造が保たれたことを確認でき、慢性拒絶反応の病理学的な所見はなかったことを明らかにした。2.「iPS細胞の制御性DCへの分化誘導技術の確立」においては、iPS細胞から制御性DC(iPS-DCreg)への分化誘導およびその機能解析を行った。iPS-DCreg細胞の誘導は、IL=10、TGF-β等様々なサイトカインの添加によって検討した。その結果、iPS-DCregでは、骨髄由来制御性DC(BM-DCreg)とほぼ同様で、Ia、CD80、CD86、CD40等表面分子の発現は通常性(Conventional)DC(DCconv)より顕著に減弱した。ギムザ染色による細胞形態の観察においてもBM-DCregとの差が見られなかった。また、卵白アルブミン(OVA、タンパク質抗原)或はデキストラン(Dextran、糖質抗原)の抗原プロセシング機能が維持されていることが確認できた。さらに、iPS-DCregは、BM-DCregと同様アロ刺激によるin vitroのT細胞増殖の抑制機能がiPS-DCregの用量に比例した。Inv ivoの検討においては、popliteal lymph nodes(PLN)assayを用い、iPS-DCregがアロ刺激によるT細胞増殖の抑制機能有することを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度において、昨年度の骨髄キメラ動物作成条件下で、ラット心臓移植のモデルを用いて、移植免疫寛容誘導の機序について検討を加えた。ドナー特異的な心臓移植を行い、心臓移植片の生着が顕著に延長された。また、心臓移植100日経過後に移植片が生着しているレシピエントにおいて免疫抑制機能を有する制御性T細胞が顕著に増加したことが示唆され、移植片を解析し、心筋組織・血管の構造が保たれたことを確認でき、慢性拒絶反応の病理学的な所見はなかったことを明らかにした。さらに、iPS細胞から制御性DCへの分化誘導およびその機能解析を行い、骨髄由来制御性DCと同様、アロ刺激によるT細胞増殖の抑制機能有することを明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
放射線照射前処置に比べて、薬物による免疫寛容は誘導が示唆された。特に心移植モデルにおいては、心臓移植100日経過後に移植片が生着しているレシピエントにおいて免疫抑制機能を有する制御性T細胞が顕著に増加したことが示唆され、心筋組織・血管の構造が保たれたことを確認でき、慢性拒絶反応の病理学的な所見はなかったことを明らかにした。また、iPS細胞から制御性DCへの分化誘導およびその機能解析を行い、骨髄由来制御性DCと同様、アロ刺激によるT細胞増殖の抑制機能有することを明らかにした。上述のように小動物実験を用いた研究の結果を踏まえて、より安全かつ移植患者に負担が少ない方法による小児生体肝臓・小腸移植におけるドナー特異的免疫寛容誘導方法の確立に向けって、大動物を用いて、更なる検討を試みる予定です。
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