研究課題/領域番号 |
10J00075
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
高分子化学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
長谷川 丈二 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2010 – 2011
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研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2011年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2010年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | 多孔性材料 / ポリマー / 炭素材料 / HPLC分離担体 / 電気二重層キャパシタ |
研究概要 |
相分離を伴うリビングラジカル重合により、ポリジビニルベンゼンおよびポリ(ジビニルベンゼン-スチレン)共重合体のマクロ多孔体を内径100ミクロンのキャピラリ内で合成し、これをポリマーモノリスカラムとして用い、逆相モードによる鎖長の異なるアルキルベンゼンの分離評価実験を行った。ジビニルベンゼン/スチレン比を変化させることで、架橋密度の異なるポリマーカラムを作製し、ポリマーの架橋密度が分離性能に与える影響について調べた。その結果、ジビニルベンゼン量を増加させると、モノリスカラムの保持係数が増加することが分かった。これは、架橋密度の増加により、ポリマーモノリスの比表面積が増加したためであると考えられる。 また、相分離を伴うゾル-ゲル法により、レゾルシノール-ホルムアルデヒド樹脂のマクロ多孔体を合成し、さらに触媒を用いたグラファイト化により、比較的低温で多孔性グラファイトモノリスを作製することに成功した。作製したグラファイト多孔体をモノリスカラムとして用い、液体クロマトグラフィーの分離評価実験を行った。その結果、各種アルキルベンゼンにおいて、保持が確認できた。今のところ、良好な結果は得られていないが、グラファイトのモノリスカラムの報告例は世界でもほとんどなく、得られた知見は非常に意義深いものであると考えられる。 さらに、架橋ポリシルセスキオキサン多孔体を熱処理することにより得られたカーボン/シリカナノ複合体からシリカを除去することで、高比表面積と階層的多孔構造を併せ持つカーボンモノリスを得ることに成功した。これをモノリス電極として用い、電気二重層キャパシタを作製し、様々な水系電解液内で容量を測定することで、マイクロ孔径と電解液中のイオンサイズが電気容量に与える影響について調べた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究をはじめた時点では、ポリマーカラムによる低分子(ベンゼン誘導体など)の分離は世界でも達成されていなかったが、相分離を伴うリビングラジカル重合により作製したポリジビニルベンゼンのポリマーカラムでは、容易に分離することができた。その後の研究では、ポリマーの比表面積の大きさ(マイクロ孔容積)が低分子のカラム中での保持に大きく関係していることが分かってきており、当初の予想を大きく上回る成果が出たと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
ポリマーカラムを用いて、さらに材料の多孔特性が分離性能に与える影響について調べる予定である。また、本研究では、ポリジビニルベンゼンおよびポリ(ジビニルベンゼン-スチレン)共重合体でのみカラムを作製し、分離性能の実験を行ったが、その他のポリマー(メタクリレート系やアクリルアミド系)の多孔体によるポリマーカラムを用いての評価も必要であると思われる。
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