研究概要 |
自己誘導性レバー引き課題遂行中の2光子カルシウムイメージングにより、マウス大脳皮質運動野の神経活動を可視化することに成功した。Pull細胞と、Post-Pull細胞が同一画面上に存在することがわかった。機能クラスターの有無を調べるために、細胞活動のクラスター化を評価する新規のパラメータ、幾何学的エネルギー、を計算し、引き運動時に神経細胞の活動がクラスター化していることが見出された。この結果によりPull細胞がクラスター化していることが予想される。実際、Pull細胞間の距離は有意に小さかった。クラスター化しているPull細胞がレバーの位置情報を正確に反映しているか検討するため、Pull細胞をクラスター化傾向にしたがって分類した。視野内最大の「主要クラスター」の直径は70um程度であり,平均8.3個のPull細胞から構成された.主要クラスター細胞は非クラスター細胞と比較して、単一細胞レベルでも複数細胞レベルでもレバーの位置情報をより正確に持っていた。機能クラスター内の神経細胞集団がレバーの位置情報をより正確に持つのはなぜか?クラスター内神経細胞の方が、クラスター外神経細胞よりも、神経活動が有意にみられるトライアルの割合が高かった。また、この割合は神経活動の相関と正の相関があることも示された。本研究ではシナプス結合の有無までは調べていないが、こうした高いATRと相関をもつ機能クラスターは、多くの共通入力あるいは再帰的シナプス結合を有していることが予想される。クラスターを構成する神経細胞集団はそうした密な相互作用によって随意的な運動をより正確に反映すると考えられる。また、光刺激に関しては、2つの運動領野間の層構造特異的な機能的結合を同定するためのツールとして用いた。これによって運動課題中の神経細胞の摂動が可能となった。
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