研究課題/領域番号 |
10J00168
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
医用生体工学・生体材料学
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研究機関 | 独立行政法人物質・材料研究機構 (2011) 鹿児島大学 (2010) |
研究代表者 |
小土橋 陽平 独立行政法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2010 – 2011
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研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2011年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2010年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | N-イソプロピルアクリルアミド / ミセル / ブロック共重合体 / 温度応答性 / ATRP / RAFT / ドラッグデリバリーシステム / バイオマテリアル |
研究概要 |
本研究は、"複数の刺激応答性高分子によるナノ集合体の創製とスマートバイオマテリアルへの展開"の研究課題の下、混合法により複数の機能性を有する集合体の簡便な調製およびその混合比の最適化について検討した。本年度は混合集合体の形成について様々な機能性高分子を用いて評価した。年次計画の2年目に記述された、温度応答性および電荷を有する混合集合体の調製については、電荷の量により集合体の凝集挙動を制御できることを発見し、Polymer Chemistry, 2011, 2, 1362-1367(doi:10.1039/CIPY00004G)にて既に報告している。本年度の研究成果を以下に述べる。 ・これまで40度付近でしか調製できなかった混合集合体の調製を、共重合によりその応答温度を低下させることで、室温にて安定なナノ集合体を調製することに成功した。また、混合集合体のシェル部にはアクリルアミド型の温度応答性部位、エーテル型のPEO、メタクリレート型の分子認識部位と3種類の主鎖骨格が異なるものを利用し、種類によらず安定した混合集合体を形成することが確認された。また、ブロック共重合体に蛍光分子を化学的に結合し、集合体の細胞選択性について評価した。これにより分子認識部位を有する混合集合体は他の集合体と比較して特定の細胞と強く相互作用を起こすことがわかった。つまり今回提案した研究課題によって、非常に簡便に多機能性ナノ集合体を調製することができ、またそれらの機能性の量や種類をポリマーの主鎖骨格にかかわらず制御することができる。これらの結果は、本研究課題を達成することを意味し、Polymer Science, in press(doi:10.1039/c2PY00589A)にて報告している。 ・また、これらの多機能性をより幅広い分野に拡張する為、シリカナノ粒子表面に温度およびpH応答性ポリマーを修飾した。修飾したポリマー比の違いにより、上記の混合ナノ集合体と同様に溶液挙動を制御することに成功している。これらの結果については、現在査読有ジャーナルに投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究課題である多機能性ナノ集合体の調製の為、室温で集合体を形成できるようブロック共重合体の一次構造をリビングラジカル重合により精密に設計した。ブロック共重合体はアクリルアミド、エーテル、メタクリレートと主鎖骨格が異なるにも関わらず、安定なナノ集合体を調製することに成功した。これは集合体に組み込まれるポリマーは主鎖骨格に依存しないことを意味する。調製した多機能性ナノ集合体は診断と治療を同時に行えることが期待され、かつその機能性を容易に設計できることからバイオマテリアルとして非常に有用であり、当初の研究計画を達成したと考えられる。これらの技術を応用し、研究課題には記述していないシリカナノ粒子への多機能性の付与および溶液挙動の制御についても同様に成功しており、現在研究成果を投稿中である。以上のことから、本研究は当初の計画以上に進展していると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は集合体の混合比をより詳細に検討し、in vivoにおける特定の癌細胞への薬物キャリアとしての機能を評価したい。混合する集合体の数を増やすことにより、生体との相互作用がより複雑化すると予想されるがライブラリを作成することでこれらの相互作用にルールを発見し、構成するポリマーの最適値を検討する。
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