研究課題/領域番号 |
10J00463
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
分子生物学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
能丸 寛子 九州大学, 生体防御医学研究所, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2010 – 2012
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研究課題ステータス |
完了 (2012年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2012年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2011年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2010年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | FosB / AP-1 family / Microarray / microglia / C5a / complement / alternative splicing / microarray / astrocyte / neuron / microg / transcription |
研究概要 |
fosB遺伝子は選択的スプライシングにより2つのmRNA(fosBと△fosB)を生じ、それぞれFosB、vFosBあるいは△FosB、△2△FosBタンパク質をコードする。これらのfosB遺伝子産物は、他のJun、Fosファミリータンパク質とともに転写因子AP-1のサブユニットとして機能する。当研究室では現在、fosB遺伝子を完全に欠損するマウス(fosBG/G)、△fosB mRNAのみを産生するマウス(fosBd/d)を樹立している。本研究は、fosB遺伝子改変マウスの脳からニューロン、アストロサイト、ミクログリア、オリゴデンドロサイトを単離培養し、fosB遺伝子産物によって発現が調節されている標的遺伝子を網羅的に探索同定し、fosB遺伝子産物の個体レベルでの生理的役割を解明することが目的である。 初年度に行った、ミクログリアに関するマイクロアレイの結果から、補体レセプターであるC5aRとC5L2遺伝子がFosBG/Gマウス由来ミクログリアでは発現量が減少していることがわかっていた。本年度はその発現変化が細胞やマウス生体にどのような影響を与えているかを綱べるため、ミクログリアの細胞遊走性や興奮毒性を引き起こすカイニン酸投与後の影響をマウス生体を用いて調べた。現在、ミクログリアの遊走性の低下やミクログリアの活性化の低下を示唆するデータを得ており、ミクログリアでのマイクロアレイから同定されたFosBにより発現を制御されている遺伝子の発現が変化することにより、生体マウスのミクログリアの機能に影響を与えることが本年度の研究により明らかとなった。 また、現在ニューロンでのマイクロアレイも準備中であり、これにより、FosB遺伝子産物がどのような遺伝子発現を調節し、それにより生体のフェノタイプにどのように影響を与えているかが今後解明されると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ミクログリア・アストロサイトのマイクロアレイにより複数の遺伝子がFOSB,ΔFOSBにより発現が制御されていることが明らかとなった。特にミクログリアに関しては、補体C5aレセプターC5ar,C5L2の遺伝子の発現がFOSBにより制御されていると考えられ、この発現はミクログリアの機能に影響を与え、生体マウスのミクログリアでの機能にも影響を与えられていると示唆されるデータを得ている。これらの新しい知見を三年間の研究により明らかにすることができた。このため、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
fosB遺伝子改変マウスを用いた培養ニューロンのマイクロアレイに関しては現在準備中である。ミクログリアやアストロサイトでの結果から、細胞ごとにFOSB,ΔFOSBで制御されている遺伝子はほぼ異なっていることがわかっている。そのため、ニューロンのマイクロアレイにより新たなFOSB,ΔFOSBにより発現が調節する遺伝子が明らかになり、うつ様行動や過活動のフェノタイプを示す原因遺伝子を新たに探索出来るのではないかと考えられる。
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