研究課題/領域番号 |
10J00470
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
計算機システム・ネットワーク
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
フンドック トゥアン (2011) 京都大学, 情報学研究科, 特別研究員(PD)
フントゥアン ドック (2010) 京都大学, 情報学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2010 – 2012
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研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2011年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2010年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | 準出生死滅過程 / 待ち行列 / 再試行 / 双方向通信 / 後処理 / コールセンター / モデル化 / 性能評価 / 再試行型待ち行列 / マルコフ連鎖 / 連分数 / 行列連分数 / レベル依存準出生死滅過程 |
研究概要 |
本年度において主にコールセンターのオペレーションを最適化するため,客の再試行を考慮した三つの待ち行列モデルを提案・解析した. (1) 双方向通信がある再試行型待ち行列 混合型コール・センターではオペレーターは外部からかけてくる電話(ingoing call)にだけ対応するのではなく,自ら顧客にも電話(outgoing call)をする.本研究ではこのような混合型コール・センターを双方向通信がある再試行型待ち行列でモデル化する.本テーマに対して,単一サーバの場合,ingoing callおよびoutgoing callはそれぞれ別々の一般分布に従う場合,定常解析・漸近解析を行った.さらに,サービス時間が指数分布に従う場合はoutgoing callのレートの最適値を陽にも求めたほか複数サーバに対する準出生死滅過程による定式化を行った. (2) 後処理を考慮した再試行型待ち行列 コール・センターではオペレーターが電話に対応した後必ず,その客の後処理を行う必要がある.本研究ではコール・センターの応用に見据えた「後処理と再試行がある待ち行列モデル」を考える.客が電話するとき全回線が占有されるとその客がある時間後に再試行する.一方,サーバが電話を対応した後に付随する後処理を行う必要がある.サーバが後処理を行う間に新しい電話に対応できないが使用していた回線が解放されるため客はそれを用いて,待機することが可能である.本モデルをレベル依存準出生死滅過程で定式化し,安定条件を導出すると共に漸近解析を用いた数値解析を行った. (3) 再試行のある待ち行列ネットワークの厳密解 私はさらに多段処理のあるコール・センターや受付を有するサービスシステムをモデル化するため「再試行と棄却がある2サーバ直列型待ち行列モデル」を考えた.本モデルは再試行のある待ち行列ネットワークの基本モデルの一つである.本モデルに対してサーバの状態および再思考中の客数の結合分布が超幾何を用いて表せることを示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の目標は通常の複数サーバ再試行型待ち行列を解析することであった.このクラスの問題は二次元マルコフ連鎖で定式化できる.しかし,このテーマが予想以上に短時間で研究を終了することができたため,後処理や双方向通信モデルへと拡張して,解析を行った.後処理や双方向通信のモデルはどれも三次元マルコフ連鎖でモデル化する必要があり解析が一層と困難である.それに対して準出生死滅過程に基づくアプローチで解析を行い,当該モデルの分析を可能にした.これらの研究成果が国際学術誌に3編発表したほか,査読つき国際会議論文でも2編採択された.
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今後の研究の推進方策 |
昨年度では双方向通信のモデルに対していくつかの解析的な結果を得たが,大規模コールセンターの性能評価を行うため任意のサーバ数の場合の数値解析結果が必須となる.しかし,複数サーバの双方向通信待ち行列は三次元マルコフ連鎖で定式化できるため,その解析の計算量が大きい.今後は任意のサーバ数の場合に対する効率的なアルゴリズムの開発を行っていこうと考えている.
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