研究課題/領域番号 |
10J00699
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
幾何学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
今城 洋亮 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2010 – 2012
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研究課題ステータス |
完了 (2012年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2012年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2011年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2010年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | スペシャルラグランジュ部分多様体 / 幾何学的測度論 / 張り合わせ / 孤立特異点 / 非孤立特異点 / 一意性 |
研究概要 |
まず前年度の続きであるが、孤立特異点に対する張り合わせの全射性を安定なトーラスコーンの場合に証明したが、その証明を改善した。全射性の証明は技術的に厄介な部分であるため、慎重に行った。張り合わせの証明は主に2段階に分けられる。ひとつはバブルオフの解析、もうひとつは局所模型の分類である。私はバブル・オフの解析が一般の孤立特異点に対し可能であることを示した(ただしヤコビ場の積分可能性を仮定する)。一方局所模型の分類の証明には安定性およびトーラスコーンの対称性を本質的に用いている。 孤立特異点の研究の続きとして2つことを考えている。ひとつは上記の張り合わせの全射性定理が応用できる具体例を構成することである。もうひとつは局所模型の分類をより一般の場合に行うことである。これらに関しては以下の12においてもう少し詳しく述べる。 また非孤立特異点に関する研究を始めた。これは4次元ヤン・ミルズゲージ理論や擬正則曲線の解析とは異なる部分である。4次元ヤン・ミルズゲージ理論や擬正則曲線の理論ではモジュライ空間をコンパクト化し、それを用いてドナルドソン不変量やフレアーホモロジーなどが定義できる。しかし、スペシャルラグランジュ部分多様体に対してはそのような不変量はまだ定義されていない。その理由のひとつは非孤立特異が現れるからである。例えば非孤立特異点に関する張り合わせはまだ研究が始まったばかりである。 幾何学的測度論では非孤立特異点に関する理論としてサイモンの理論がある。サイモンの定理により、非孤立特異点にギャップがなければその周りの漸近挙動が分かる。私はこのサイモン理論をスペシャルラグランジュ部分多様体に応用したいと考えている。具体的には非孤立特異点の変形理論を考えることから始めたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目標どおり、張り合わせの全射性を証明できた(安定なトーラスコーンの場合に)。張り合わせの全射性はヤン・ミルズゲージ理論や擬正則曲線の理論ではよく知られているが、それと同様なことが成り立つことを証明できた。上記の9に述べたとおり、スペシャルラグランジゴ部分多様体の解析は4次元ヤン・ミルズゲージ理論や擬正則曲線の理論より難しいが、ミラー対称性の観点からモジュライ空間を用いた不変量の定義は重要な課題である(ジョイスにより提唱されている)。私はそのための第一歩を始められたと認識している。また技術的には、私の定理では幾何学的測度論が重要な役割を果たす。上記の9に述べたように幾何学的測度論の更なる応用も考えたい。
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今後の研究の推進方策 |
今のところ2つのことを考えている。ひとつは安定なトーラスコーンに漸近するコンパクトなスペシャルラグランジュ部分多様体の具体例を構成することである(これには私の全射性定理が適用できる)。方針としては通常2重点をもつカラビ・ヤウ多様体から始める(適当なInvolutionがあると仮定する)。その特異点解消の模型はよく知られており、そこでは安定なトーラスコーンに漸近するスペシャルラグランジュ部分多様体が構成できる。それを張り合わせればよいだろう。 もうひとつは局所模型の分類の一般化である。それにはフレアーホモロジーが有効であると予想する。サイデル・アブザイドはラップトフレアーホモロジーを定義したが、私の考えている局所模型はコーンに漸近するので、サイデル・アブザイドの理論が使えそうである。それにトーマス・ヤウの定理を組み合わせればよいだろう。
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