研究課題
特別研究員奨励費
本研究の目的は、希土類窒化物の磁気冷凍材料としての物性と実証試験をするための球状加工技術の探索、さらに、希土類窒化物の電子状態の解明である。水素液化用磁気冷凍を目指して、希土類窒化物の熱伝導率を無地場・磁場中で測定し、希土類窒化物の実用材料とするための球状加工技術を確立した。希土類窒化物の熱伝導率は無地場磁場中いずれにおいても有意な差はなく、現在蓄冷材として使用されているステンレス、Er_3Niと同程度であることが分かった。また、HoとGdについてはHIP法を用い合成条件を最適化することにより、球状加工に成功した。多くの有望とされてきた材料は物性からのみの指摘に止まるなか、粒径100~1000μmの球状加工に成功したことにより実証試験ができる段階まで昇華させることができた。希土類窒化物の電子状態を磁気コンプトン散乱を用いて評価した。GdNは軌道磁気モーメントがなく、他の希土類窒化物に比べ電子状態は単純であると考えられる。そのGdNの電子状態でさえも、計算による報告にとどまっているのが現状である。計算によると、GdNの電子状態は第一原理計算により、局在するGd-4f電子とGd-5d、N-2pの軌道が混成することにより、Gd-5dとN-2pの電子も磁気モーメントを持つことが予測されている。磁気コンプトン散乱を用いることで、軌道ごとのスピン磁気モーメントを算出することができ、計算にほぼ一致する値を得た。これは、磁気コンプトン散乱によって他の希土類窒化物についても評価できる可能性を示した。
すべて 2011 2010
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (7件)
Solid State Communications
巻: 151 号: 21 ページ: 1602-1604
10.1016/j.ssc.2011.07.021
粉体および粉体冶金
巻: 58 ページ: 3-7
10027915993
Material Research Society Symposium Proceedings
巻: 1311 in press
CRYOCOOLERS
巻: 16 ページ: 531-535