研究課題/領域番号 |
10J00734
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
哲学・倫理学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
三木 那由他 京都大学, 文学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2010 – 2012
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研究課題ステータス |
完了 (2012年度)
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配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2012年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
2011年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
2010年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
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キーワード | 哲学 / 言語哲学 / グライス / 語用論 / 意味論 |
研究概要 |
本研究では、P.グライスの哲学説を援用し、言語的コミュニケーションを人間の合理的活動の一部とみなし、さらに合理性を人間の心理的能力の一部とみなすことで、言語と心理との関係を探ることを目指すものである。最終年度にあたる今年度では、理性と心理との関係を明確化し、言語と心理に関するこれまでの研究と結びつけることで、本研究を完成させることが目標となっていた。 しかし、そうした目標を遂行するにあたって、コミュニケーションにかかわる合理性とはどういったものなのか、それが言語とどのようにかかわるのかといったことが、これまでの研究で十分に明確化されていないことがわかったため、本年度の研究はまずはそうしたこれまでの研究の肉づけに充てられた。そしてグライスの業績を参照することで、コミュニケーションを行為の心理学的説明という観点からとらえるフレームワークが得られた(この成果は下記の論文「グライスにおける語用論的プロセス」にて公表した)。 また形式意味論的な分析により言語の働きを調べるという探求も継続して行い、日本語の「ようだ」の多義性の研究という、これまで以上に具体的な言語現象の分析を試みた(この成果は下記の二件の口頭発表、および論文「直喩の形式意味論」で部分的に公表されている)。 今年度の研究によって、合理性と言語、そして行為、心理という概念のあいだの密接な関係が、完全にとは言えないまでもいくらかは明確に見て取れるようになった。これは哲学的には、言語現象のみに注目していては捉えにくい巨視的な視点を与えるという意義を持つとともに、言語論においても、語用論という分野のあり方そのものを改めて考え直すための視座を与えているように思われる。
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