研究課題/領域番号 |
10J00758
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
地域研究
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研究機関 | 総合地球環境学研究所 |
研究代表者 |
岩崎 慎平 総合地球環境学研究所, 研究部, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2010 – 2012
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研究課題ステータス |
完了 (2012年度)
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配分額 *注記 |
2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2012年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2011年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2010年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 汽水湖漁業 / コモンズ / 流域環境ガバナンス / 資源管理 / クロス・スケール・リンケージ / 湖口管理 / 集合行為 / 汽水湖 / インド:タイ:日本 / 共同漁業管理 / 共同体 / コミュニティ主導型エコツーリズム / 漁民の森 / 正統性 |
研究概要 |
本研究は汽水湖およびその集水域を主フィールド(日本・インド・タイ・スリランカ)に、汽水湖漁業の持続可能性をめぐる資源管理と流域環境ガバナンスのあり方について検討した。 漁業管理を歴史的に検証した結果、各調査地域では共通して、限られた漁場をめぐり漁業者同士で資源争奪戦が繰り広げられていたことを確認した。また、資源量の減少を受けて漁業者あるいは政府主導による自己組織化が発展し、共同管理に向けた多様な漁業コモンズ制度の生成を確認した。オープンアクセスの悲劇を回避するには、集合行為メカニズムの構築が必要条件となる。しかしソンクラ湖では、利用や規制のルールが地域の自然条件と適合しなければ資源管理が機能しないことを実証した。他方、漁業コモンズが機能したニゴンボ湖では、地域条件に配慮して水産資源をめぐる組合内・組合間・組合外での利用〇管理ルールを入れ子状に構造化することによって、乱獲が回避されたことを実証した。従来のコモンズ研究は利用者集団の小規模性・均質性を主眼としてきたが、本研究を通じて、頑健な漁業コモンズ制度を構築するには集団内のみならず集団問・集団外を含めたクロス・スケール・リンケージを促す集合行為が求められる。 漁業管理と関連して、外海とのつながり(湖口)が汽水湖漁業の持続性に重要な役割を果たすことを指摘した。人間活動が活発な地域では、湖口環境が急速に変化し、汽水湖に生息する生物種または回遊魚に甚大な影響を及ぼすことを歴史検証の中から明らかにするとともに、湖口環境を管理して漁業生産性を維持しようとする人々の行動メカニズムを実証した。また湖口管理と並び、汽水湖漁業の管理範囲は漁場のみならず、流域を包含した管理体制の必要性を指摘し、立場の異なる関係者と協働して各々の有する資源の活用、または不足する資源を互いに補い合うといったパートナーシップ構築が重要であることを例証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は年次計画どおりに調査をおこない、既に一部の研究成果は国内・国際雑誌に掲載され、一定の評価を得ている。但し、各調査地から得られた研究結果の比較分析をより詳細に検討する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
各調査地から得られた研究結果を比較分析し、各地域の共時性に留意しながら、(1)汽水湖漁業にみるコモンズ生成条件の内部性と外部性の抽出、(2)流域環境ガバナンスの阻害・促進要因の特定を一般化し、汽水湖漁業の持続可能性、さらには漁村コミュニティの自立的発展に向けた包括的な枠組みを提案する。
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